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ブラジル音楽500年の旅=坂尾さんショーロを語る

12月2日(火)

 ブラジルを美しくする会の第六十二回講演会が二十六日午後八時から、サンパウロ市ヴィラ・マリアーナ区のSOHO源気で開催された。
 ブラジル音楽を日本へ紹介したパイオニアとして知られる坂尾英矩さんの軽妙な語り口に合わせて、アルナウジーニョ・ド・カヴァッコをリーダーとする五人組ショーロバンドが演奏し、ブラジル民族音楽史を辿る五百年の旅を参加者約七十人は楽しんだ。
 最初は一五〇〇年頃のポルトガル音楽と、アフリカ音楽バトゥッキの演奏から始まり、ブラジルで黒人と白人が音楽的に交じり合う様子を順々に辿る。イエズス会神父がヨーロッパから持ち込みインディオに教えた楽器ジャルメラは、アジアを通って日本ではラーメン屋の〃チャルメラ〃になったそう。
 セレナーデ、ポルカ、サンバの原型にマルシャ(マーチ)を経て、ショーロは十九世紀中頃にリオで生まれる。そして、一九五〇年代にブラジル人女優カルメン・ミランダがハリウッド映画で「チコチコ」というショーロを歌い大ヒットさせた。坂尾さんは「僕らは終戦後の貧しい時代だった。天国から聞こえる音楽のように感じたことを憶えています」と回想する。
 ショーロの国宝的存在、ピシンギーニャの「カリニョーゾ」や映画「黒いオルフェ」のテーマソングを演奏。「ブラジル音楽はアフロでもポルトガル音楽でもない、完成された民族音楽です。特にショーロにはブラジル人の魂がこもっている」と一時間半にわたる講演を締めくくった。