神はどこにいるのか。そんな思いを禁じえない事件が連日のように報じられている。
これは旧聞になるが、ロンドリーナ市で十歳に満たない少年が連続殺人を犯し世間を騒がせたことがある。
少年は貧民街に住み日本人修道女たちが運営する施設に通う子だった。その修道女らがこのたび引き上げを決意した、という。
二十年前に来伯したひとりの齢は七十を越す。「高齢ですし今後は日本で奉仕を」と語る顔からはしかし、志半ばの印象を受けた。念願の修道院が完成した矢先に起きたのがあの事件だった、とは後から聞いた。
修道女は鏡を見ないそうだ。自身のことなど気にせず専ら他人に尽くす姿勢の現われである。神の導きからブラジルの貧困地域でその身を捧げる日本人修道女は八十人を下らない。 (大)
03/12/02