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入学者の45%が途中〝脱落〟=西村農工校=耐えて学んで卒業=20期生、農業の現場へ

12月4日(木)

 西村俊治技術財団(西村俊治代表)の西村農工学校(パウロ・マルケス・ベアト校長)は、二十九日午後七時半から同校体育館で第二十期卒業式を行った。今期は、特別に在学中(一年時)に亡くなった”トゥルマ・ジエゴ・ルイース・デ・マッツィ”期を冠した。二十五人の卒業式に、およそ六百人が詰め掛け門出を祝福。三年間の寄宿舎生活を終えた生徒たちが同校から、いよいよ農業の現場へ巣立つ。

 会の最後、生徒百三人が会場前部に集まり、舞い散る銀色のリボンの中がっしりと抱き合った。「家から通っている生徒にはこの気持ちは分からない。同じ釜の飯を食べてきた人だから出来る、この学校のクライマックスだ」。同学校で理事長補佐を務める須賀得司さんは、少々興奮気味に語った。入学時に四十五人だった人数は、卒業時に二十五人に減るなど、同校は指導の厳しさで有名。それを乗り越えた、卒業生たちの喜びが爆発した場面だった。
 来賓には、ジャクト・グループのジョルジ・西村代表、アルバロ・プリゾン・ジャヌアーリオ・ポンペイア市市長らが出席。日系社会からも、国際協力機構石橋隆介次長、中沢宏一県連会長、吉岡黎明文協副会長、坂本アウグスト進栃木県人会会長らが出席した。
 第二十期のパトローノ(教育上の後見人)カルロス・アントニオ・ゴメスUNESP教授があいさつ。「実地の上で分からないことがあった場合、今まで習ったことを思い出せば前に進むことが出来るはずだ」と激励し、西村代表とパウロ校長に記念品を手渡した。
 総領事館から駆け付けた佐藤宗一首席領事は「卒業生の九割が農業に従事し、ブラジルの生産性向上に貢献している」と同校をたたえた。
 卒業生を代表して”実地研修最高評価”賞の竹内ジャイメさんは「学校で教わった経験を常に思い出し、実地の上で役立てたい。私たちが、活躍し西村農工学校の名をさらに認められることを目指す」と三年間の思いを噛み締めるように語った。
 生徒たちによる校歌「HINO・DA・FUNDACAO」の斉唱が終わり、卒業証書の授与式。二十五人のそれぞれが壇上に呼ばれ、会場からの歓声と拍手に答える。発表される出身者は、サンパウロ州はもちろんとして、パラナ州、サンタカタリーナ州、マトグロッソ・ド・スル州と幅広い。
 終わりに体調不良の西村代表の言葉をジョルジ代表が代弁。「私からは『分福』と言う言葉をはなむけとする。この言葉は、将来、幸福な家庭を築き、事業の成功を治めた時、その幸福を決して自分一人占めにするのではなく、協力してくれた人々や世の人々にも分かち合うということ。この事を忘れなければ事業や幸福はきっと永続きするでしょう」と語りかけた。このあと、西村代表がたちあがり来場者に感謝の言葉をのべ、卒業生を短く激励した。
 卒業生は、アメリカ、ブラジル国内にわかれ一年間の実地研修に入る。