12月5日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】サンパウロ州は、小・零細企業の倒産によって、年間百五十六億レアルを失っている。サンパウロ州経済の損失額は、一般車百万台または冷蔵庫二千二百万台、あるいは食料品バスケット七千五百万個分に相当する。またこれによって、五十三万人分の就職口もなくなっている。これは毎年、定員八万人のモルンビー・スタジアムを七回満員にできるほどの失業者を出していることに例えられる。
この結論は、小・零細企業支援サービス機関(Sebrae)サンパウロ州支部がこのほど初めて実施した「開業一年~五年のサンパウロ州企業の生存と死」調査から得られた。
同調査は、国家商業登録局(DNRC)とブラジル地理統計院(IBGE)のデータに基づいて行なわれた。小・零細企業は全企業の九九%を占めており、ブラジルの労働手帳に登録される就職口の四一%に当たる。
一九九七年から昨年までの五年間に、サンパウロ州の小企業倒産率は、一九九一年から一九九六年までの五年間と比べて少々下がった。だが倒産率はいまだに高く、一年に十企業のうち六企業が倒産する割合である。
小・零細企業が開業早々倒産する原因は主に五つ考えられる。
(1)企業側に計画性がなく、経営方針も悪かった。
(2)政府が、融資の簡易化や減税など、小・零細企業を支援する政策を出さない。(企業家の二九%がこれを指摘)
(3)経済情勢の影響。(五六%が指摘)
(4)(商業・サービス部門で)売上が落ちた。
(5)個人的な理由(共同経営者間での意見の食い違い、家族内部の問題など)。
サンパウロ州の小・零細企業七万八千社が一九九七年から昨年までに、これら五つの理由で早期の倒産に追い込まれている。これによって毎年三十三万五千人~五十三万人分の就職口が奪われ、損失額は百五十六億レアルに達している。
一九九〇年から昨年までの十二年間で見ると、サンパウロ州だけですでに百万もの小・零細企業が倒産。損失額は二千三十六億レアルにもなり、国内総生産(GDP)の一・四%に相当する。同期、四百四十万人から六百九十万人分の就職口が失われた。
アレンカール・ブルチSebraeサンパウロ州支部長は、現在の税制と官僚的な手続きが、小企業を不法営業の道へ追い込んでいると指摘。「不法営業が増えれば、それを悪用する犯罪組織も増加する。社会の改善のためにも、小企業が生き残れるように、多種の手続きや税金問題を簡易化しなければならない」と訴えている。
今週、「小・零細企業総合法」案が、現在上院で審議されている税制改革案とともに検討される。この法律が有効になれば、連邦、州、市の税制、労働規制、年金規制がすべて統合される。唯一の法律をつくることによって官僚的な手続きを無くし、小・零細企業を助けるのが目的。また、税制改革によって、八種類の税金を一つにする「スーペル・シンプレス(直訳=超簡単)税」システムもつくられる予定でいる。