12月5日(金)
日本語普及センター(谷広海理事長)は二十九日午後一時三十分から、サンパウロ市ヴィラ・マリアーナ区の同センターで臨時総会を開き、全会一致で名称を「ブラジル日本語センター」(CENTRO BRASILEIRO DE LINGUA JAPONESA)に変更した。「普及」の意味があいまいで団体の理念がよく分からないと、かねてから指摘されていたため。高橋正剛副理事長が今後の方向性について説明。日本語教師の養成をはじめとする事業目的を明言した。
谷理事長就任(〇二年四月)以来、同センターは開放的な空間づくりを目指して建物の改築、室内の模様替えなどに取り組んできた。改称で組織改革にも弾みをつけたいところ。同理事長は「この一年半で業界内の事情にも明るくなった。今後は、日本語教育そのものにも手を加えていきたい」と決意を新たにした。
北伯日本語普及センター、ブラジリア日本語普及協会、アラサツーバ日本語普及センター……。類似名を持つ団体が国内各地に存在。全伯的な会議の場では、日本語普及センター(サンパウロ)の性格をめぐってちょくちょく議論になる。他団体との区別化を図りたいという意図が働いた。
役員は「(現名称だったら)第一どこの場所にあるのか分からないし、政府組織とよく勘違いされる。日本政府関係者には、何をする会かといつも質問を受ける」と口を揃えて懸念を表明した。生徒に質問を受けた会員教師すら所属団体の目的について、十分に説明出来なかったこともあるという。
登記所には、ポ語名「CENTRO DE ESTUDO DA LINGUA JAPONESA」で届けている。「ESTUDO」を「普及」と訳すことについて疑問が持たれており、柳森優前理事長時代から名称変更が検討されてきた。
高橋副理事長は、日本語教師の養成∇技術レベルの向上∇活動支援を使命の三本柱に挙げた上で、「中南米における日本語普及の中心機関になる」というヴィジョンを示した。
ただ、「CENTRO BRASILEIRO」という名を持つ団体が既に登録されており、登記所が受け付けない可能性がある。その場合は、従来の名称を続ける∇提訴して司法の判断に委ねる―などの選択を迫られる。
役所に対する交渉は理事会に一任され、来年三月の総会までに受理されるか否かの見通しをはっきりさせる考えだ。実務では、新名称を使用していく。
臨時総会では、このほか、新民法の発効(来年一月十一日)に合わせて、会員の罰則、不動産の処分、資産管理などについて定款改正を議論。いずれも満場一致で承認された。
理事会を十七人から七人(理事長、管理担当副理事長、財務担当副理事長、教育担当副理事長二人、書記理事、会計理事)に縮小させることが決まった。新民法では、理事はすべて総会で選出しなければならず、シャッパ(候補者名簿)の作成が困難になるという恐れがあるため。理事数を減らすことで競争を促し、理事会を活性化させる狙いもある。
新たに準理事(Diretores Ajuntos)を設け、事業、イベントの際に、理事会の判断に応じて指名する。人数は定めていない。評議委員も現行の九十人(補欠十人)を四十~八十人とし、融通性を持たせる。
会の運営者に関する規定は来年三月の総会後から効力を持つ。それ以外は臨時総会後に発効した。