12月5日(金)
デカセギ子弟の問題などを研究している心理学博士、中川キョウコさんの講演が先月、静岡県浜松市で開かれた。デカセギ四十四家族の子どもでサンパウロの公立学校に入学した七十人の実態調査をもとに、デカセギの親の三割は在伯の子どもたちに送金をしていないなどと発表。また、在日ブラジル人弁護士が法的手段を講じるなど、デカセギ子弟の扶養問題が社会化している。十一月二十九日付、インターナショナル・プレス・オンラインが報じている。
中川さんの発表は浜松市のボランティア団体カナリーニョが主催する初等教育に関する講演会で行なわれた。三二%のデカセギが在伯の我が子に送金を全くせず、一三%は祝い日に限り断続的に送金するだけで計四五%が子どもの養育を怠っているとした。
親の子に対する無責任感に控訴院判事たちは、養育を怠る親を処罰する法的機構の設置を検討している。埼玉県在住の弁護士、カルロス・リゴベルト・イトウさんは、「法的措置は想像以上に簡単」とし、被告が日本にいない場合、母親か未成年の保護者が在伯の親族に対し養育裁判に訴えることが可能という。
被告が公判に出頭しないと、欠席裁判となり、その負担金支払いが遅れれば、異議申し立て人は負債の強制執行裁判に入る。そして、負債が返済されない場合、逮捕請求ができるという。拘留期間は六十~九十日だが、負債を払えば取り消しができるらしい。「ブラジル児童少年裁判所の検事は、負担金を支払わない父親に対し訴訟を起こしたい人たちに指導を行なっている」などと語っている。
両親ともに在日している場合、イトウさんは、「日本では、家庭裁判所で審判が行なわれ、弁護士の必要がない」と説明している。