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ヤギを飼って学校へ=バイーア=NGOが計画推進=所得、栄養状態も改善

12月9日(火)

 【エポカ誌、エスタード・デ・サンパウロ紙】セルタネージョ(奥地の人)は、ヤギが悪魔の使いで、何でも食べるが何の価値も生まないと信じている。しかし、バイーア州の半乾燥地帯の一部住民は言い伝えを退け始めている。ヤギの飼育がフェイジョン、マンジョッカ、トウモロコシ畑やサイザル麻畑での労働と同じぐらい値打ちがあることに気づいたのだ。

 非政府組織(NGO)の地域組織運動(MOC)は昨年、『ヤギ学校』と名付けられたプロジェクトを実施した。バイーア州のセリーニャ、イシュ、リアション・ド・ジャクイーペ、ノーヴァ・ファミーリア、コンセイソン・ド・コイテ市の貧困家庭にヤギ購入と牧場建設のための融資をMOCは行った。融資額は一家庭当たり千レアルが上限で、返済期間は八年まで、金利は年三%。融資条件は厳しい。やぎの飼育に必要な土地を三ヘクタール以上有すること、次に最も重視されたのは子どもたちに仕事をさせず、学校に通わせ、八〇%以上の出席率を維持することだ。
 同計画に協賛した製薬会社「Pfizer」は、昨年は十七万レアル、今年は十八万五千レアルを出資した。昨年は百二十家族(約七百人)、今年は百家族(約五百人)が融資を受け、約四百人の子どもが畑仕事から解放された。
 各家族は一年間に平均五十六キロの肉と三百六十リットルのミルクを生産できた。ヤギの肉は一キロ当たり六から七レアルで、ミルクは一リットル当たり〇・八〇レアル、皮は十レアルで販売される。ヤギ一匹の値段は六十レアルから九十レアル。家族の所得は三五%増加した。ヤギのミルクは一家族当たり平均五人の子どもたちに飲まれ、子どもの栄養失調は四〇%減少した。ブラジル地理統計院(IBGE)によると、セリーニャ市の世帯の三分の一が最低給料(二百四十レアル)以下の所得で生活しているという。
 セルタネージョのように、ヤギは生命力が強い。わずかの水で生き延び、ヤシの木を始め、ほかのどんな植物もえさにする。一年三カ月の間に二回、二匹か三匹の子を産む。ただ、柵で囲うなどして、大事な植物が食い荒らされないよう注意が必要とされる。
 北東部地方の児童労働は連邦政府の児童労働根絶計画(Peti)により、ここ数年間、改善されつつある。この計画は子どもたちが学校に通うため、一人当たり二十五レアルを市役所を通じて家族に支給するもので、バイーア州では十一万八千人の子どもが同計画に参加している。
 「Petiは必要だが、すべての支援計画は自立心を育まず、持続可能な生活も実現しない。つまり人々が政府、補助金、支援金、施しに頼らず、自立して生活を維持することが重要だ。『ヤギ学校』計画はそうした考えから生まれた」とMOCのバプチスタ事務局長は話した。