ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 人種差別意識が低下=建前と本音に隔たりも

人種差別意識が低下=建前と本音に隔たりも

12月9日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙】「ブラジルの人種差別・偏見」をテーマに実施された聞き取り調査の結果、差別意識は低下しつつも、人種的平等についてブラジル人の意識と言動との間に大きな隔たりがあることが判明した。
 この調査はペルセウ・アブラーモ財団とドイツのローザ・ルクセンブルグ・スティフトゥン財団が共同で、十六歳以上の五千人に聞き取りを行ったもの。比較のため、ダッタ・フォーリャが九五年に実施した調査と同じ方法で同調査は実施された。
 「あなたは黒人に対して偏見を持っていますか」という質問には九六%が「持っていない」と答え、「少しある・わからない」(三%)、「非常にある」(一%)を圧倒的に上回った。九五年にはそれぞれ、八八%、九%、三%だった。
 しかし、こうした回答とは逆に、「上司が黒人だったらどうしますか」「息子や娘が黒人と結婚したいと言ったらどうしますか」「黒人の政治家に投票しますか」「白人と黒人のどちらがもっとかしこいですか」「神が様々な人種を作り出したのは、それが混ざらないためだと思いますか」といった具体的な質問がされた場合、何らかの人種差別的回答を行った人は七四%に上った(九五年は八七%)。
 調査責任者のヴェントゥーリ氏は、九五年から〇三年の間に人種差別的意識が低下した理由として、メディアの扱う黒人像の変化(ドラマに中流層の黒人が登場してきたこと)、雑誌や化粧品など黒人の購買層をターゲットにした商品の開発、教育省が人種差別的内容・表現の教科書への掲載を禁じたこと、黒人の権利擁護を訴える団体が九〇年代に増加したことを挙げた。ルーラ大統領が最高裁判所判事に初めて黒人を任命したことも単なる偶然ではない。
 九五年から〇三年にかけて、自分を「白人」と認める人は、約四〇%と変化しなかった。しかし、「(白人と黒人の)混血」と認める人は四三%から三二%に減る一方、黒人と認める人は七%から一二%に増加している。