12月13日(土)
歌手エウザ・ソアーレスを一言で表現するなら「大胆」だろう。彼女は1960年代、自分のサンバ歌曲にジャズを思わせる歌いぶりをミックスし、伝統的なサンバ歌手から辛らつな批判を受けた。それでも、その大胆な音楽を自分のトレードマークにすることに成功した。エウザは今回、最新アルバム「ヴィーヴォ・フェリス(直訳=幸せに生きる)」で、ブラジル大衆音楽(MPB)とテクノをミックスして「テレコテクノ」という新しいタイプの音楽を作り出した。推定年齢67歳のエウザ。彼女は留まることなく、大胆な音楽性を求め続けている。
ゼー・ケーチの「オピニオン」やパウロ・ヴァンゾリーニの「ヴォウタ・ポル・シーマ(直訳=乗り越えよう)」などのテクノミックスが収録されている。このアルバムのプロデューサー、アーサー・ジョリーさんは、「エウザはテクノのスペシャリストになったわけではない。でも、テクノミュージックやテクノパーティーでのノリは最高だよ」と話す。
エウザは1962年、当時結婚していた有名サッカー選手・ガリンシャと恋に落ちたことで有名。ガリンシャと結婚した後も「男を利用する女」というレッテルをはられ、彼女の人気ががた落ちした。
それから約20年後、エウザはカエターノ・ヴェローゾのアルバム「ヴェロー」で共演し、再びスターの座に輝いた。
その後、サンパウロ市のあるショーハウスで、午前零時から始まる「ミニャ・ヴィンガンサ・セラー・マリグリナ(直訳=わたしの復讐は恐ろしい)」という名の、ホラー映画タッチの人気ショーを開催した。
しかし、悲劇が訪れた。彼女とガリンシャの間に生まれた唯一の息子、ガリンシーニャが交通事故で死亡したのだ。
試練を乗り越えたエウザは、3年前にジャーナリストのアンデルソン・ルゴンさん(27)と結婚。2年前からテクノ系の音楽にひかれ、プロデューサーのジョゼ・M・ウィスニックの下、アルバム「ド・コッキシス・アテー・オ・ペスコッソ(直訳=尾骨から首まで)」をリリースした。
同アルバムは8万5千部販売。テクノ市場ではなかなかの業績である。今回の「ヴィーヴォ・フェリス」は、前アルバムの続編とも言える。「人は常に前へ進まなくてはならないのよ」とエウザは語った。
(ヴェージャ誌)