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漸増する中流層の黒人=消費者として成熟=白人の領域に踏み込む

12月16日(火)

 【エポカ誌】レナット・フェレイラさん(二九)の曾祖父母はエスピリト・サント州内陸部の大農場の奴隷だった。祖父母は農民として働いた。奴隷の三代目の子孫であるフェレイラさんは現在、リオ市で弁護士業を営んでいる。ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団の大学院で会社法を勉強し、米国留学も検討している。ブラジルはジルベルト・フレイレが著書『カーザ・グランデ&センザーラ』で記した、「人種融合の点で偉大な民主主義の国」には程遠い。しかし、フェレイラさんのようなサクセスストーリーは黒人たちが障壁を乗り越え、以前は「血筋の良い」白人が特権としていた領域に踏み込みつつあることを明示している。

 IBGEの全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、最低賃金(二百四十レアル)の五倍の給料を稼ぐ黒人の世帯主は、九二年に全人種の一・三八%に過ぎなかったが、〇一年には二・六八%とほぼ二倍に増えた。ここでいう黒人にはパルド(混血)も含まれる。
 中流層の黒人はまだ少数派だ。ブラジル地理統計院(IBGE)のデータに基づき、ブラジル資本市場研究所(Ibmec)が初めて実施した調査によると、月収千三百八十四レアル以上の、つまり所得税納税者の世帯主全体で黒人が占める割合は一四・六九%。上位二〇%の富裕層のうち、黒人は一八・一四%、白人は八〇・二%、上位一%の富裕層では、黒人は九・一七%、白人は八六・五五%を占めるという。
 Ibmecの調査結果は黒人の社会的・経済的地位向上の難しさを物語っている。最貧困層の黒人の子どもの五五%は世代が進むに連れて地位が向上する。月収が七百十六レアル未満の黒人の子どもたちの、三分の一が両親以上の給与を得ている。しかし、千三百八十四レアル以上の所得層になると、父親の所得を維持できる子どもは二五%に低下する。白人の子どもでは五三%だ。
 黒人の地位向上の障壁は教育であると繰り返し言われる。ブラジル国民の七〇%が親と同じ学歴に留まる傾向がある。初等、中等教育までを受けた黒人の子どもが大学に入学するのは困難で、中等教育が一種の壁になっていると研究者たちは指摘する。
 ささやかながら、九〇年代になって黒人の地位向上は目に見え始めた。例えば、リオ市にあるコンサルタント会社『Planus』では、管理職の七〇%が黒人だ。想像とは違い、同社では黒人の割当採用は行われていない。全員が能力評価によって現在の地位に就いた。受付から企業内研修を受けて人事課長に昇進した人もいる。
 出版社『TBWA』は九八年に黒人の中流層を調査した。その結果、約三割の黒人が自分の人種を意識しながら商品を購入することが明らかとなった。「黒人たちは細く、傷みやすい自分たちの髪専用の商品を見つけるのが難しい」と黒人にターゲットを絞った商品を初めて発売したナズカ化粧品のマーケティング課長は話す。
 TBWAの調査結果によると、黒人の年間総所得は四百六十億レアルに達し、毎月五億レアルが預金に回されるという。預金の大部分は黒人を対象としたサービスや商品が見つからないためとみられている。「日本料理店は何軒ある? 何十軒とあるだろう。で、アフリカ料理店は?」とグロッテーラ・TBWA社長は問いかける。「FTAAやメルコスルなどがよく議論されるが、ブラジルには買いたくても商品が見つからない人たちからなる膨大な国内市場が存在するのだ」。