12月16日(火)
【エポカ誌】毎年、ポルトガルの産院ではブラジル人の赤ちゃんの産声が響き渡る。ブラジル人はここ数年間、ポルトガルで住むだけではない。新しい、ちっちゃな住民とともにポルトガルの人口も増やしつつあるのだ。
今年のポルトガルの人口増加率はわずか〇・一七%にすぎないが、ブラジル発見者の祖国、ポルトガルで誕生したブラジル人の赤ちゃんは二〇〇〇年以降、三倍に増加した。在リスボン・ブラジル総領事館で〇〇年に三百五十六人の出生が記録されたが、〇一年には四百五十七人、〇二年には七百九十四人と急増し、今年は九月までに八百十一人と、千人を突破する勢いで赤ちゃんは増え続けている。
彼らは地理的には遠いが、社会・文化的には近い国でより良い生活を期待された子どもたちだ。カルロスちゃん(一歳六カ月)もその一人。母親でミナス出身のラウジセイアさん(二九)は夫とともに勇気と、わずかの荷物と、良い生活へのあふれんばかりの希望を抱いてポルトガルに入国した。リスボンに到着してから六カ月後にラウジセイアさんは妊娠した。
「ブラジルでは店員として働き、最低給料をもらっていた。子どもを養っていける条件ではなかった」と話すラウジセイアさんはウエイトレスとして月曜日から土曜日まで働く。夫は朝から晩まで化学工場で働いている。「過労気味だけど、ブラジルの中流層と同じレベルの生活には満足している」。公立病院できちんと見守られて出産したことはブラジルでは思いも寄らなかったという。「ブラジルではまだまだチャンスが少ない。だから戻ろうとは思わない」。
ポルトガルで生まれても、ブラジル人の赤ちゃんは全員ブラジル国籍となる。ポルトガルは国籍に関しては血統主義を採用し、六年以上の居住許可を持つ親の子どもにだけ、ポルトガル国籍を認めている。しかし、もし赤ちゃんたちがポルトガルに住み続ければ、十八歳になった時にポルトガル国籍を選択できる。
こうした新しい世代に加え、ポルトガルには三万人の不法滞在者がいる。もし彼らの不法滞在が合法化ー伯葡両国は今年七月に合法化協定に調印したーされれば、ブラジル人は九万人を超える最大の外国人グループとなる。