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大学試験、ほとんどが不合格=80点以上の学科ゼロ=平均は20から40点の間

12月17日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙十六日】今年度大学教育国家試験(ENC。通称プロヴォン)の結果、百点満点中八十点以上に達した学科がまったくなかったと十五日、教育省管轄下にある国立教育調査院(Inep)が発表した。
 ほとんどの学科(全体の五八・二%)の学生たちの点数が、二十点から四十点の間に集中している。一一・九%はそれ以上にひどい結果を出しており、零点から二十点までの点数しかとれなかった。
 教育省が学生の点数を発表するのは今回が初めて。一九九七年に始まったプロヴォンだが、これまでは最高のAから最低のEまでの五段階の評価しか発表しなかった。
 Inepのルイス・アラウージョ総裁は、パウロ・レナト・ソウザ元教育相のころに実施されていたA~Eの評価をなくすつもりはないと言明。だが、この五段階の評価だけでは各学科の質を正しく測ることはできないと指摘している。学生の点数を発表したのも、現状に適した教育政策を実行できるようにするためだと説明している。
 来年からは、学習度を測るプロヴォンのほかに、新しい大学評価システムも実施される。「大学開発指数(Ides)」である。学生および教員の評価、大学の施設の評価、大学の社会的プロジェクトの評価などが、大学の総合評価の重点となる。「Idesによって、大学の評価はより現状に近いものになるだろう」と、アラウージョ総裁は語る。
 プロヴォンの評価が完全なものではないと考えていた大学側は、新システムの導入を支持している。同総裁も、「これまでプロヴォンのAは最高の評価だと思われていた。だが、実際の点数が低くても、全体から見て高ければAになっていた」と話す。
 一方、マリア・エレーナ・ギマランエス元Inep総裁は、「労働者党(PT)政府はプロヴォンを軽視している」と批判している。同氏によると、A~Eという文字を使った評価を活用したのは、全国の平均値と比べて各大学あるいは学科がどれ位の実力を持っているかを見るため。「学生の点数を現在のような形で発表する必要はないと我々は考えていた」。
 今年は、二十六分野の五千八百九十七学科がプロヴォンによって評価された。参加した大学卒業生数は四十二万三千九百四十六人。カルロス・アントゥーネス大学教育局長官によると、今回のプロヴォンで評価された学科数は、現在存在する約一万四千三百九十九学科の半数以下である。「教育省が望む評価方法ではないはず」と懸念している。