12月23日(火)
大サンパウロ圏の日系若者の九割が日伯学園構想に賛成しており、中でも小中学案への支持者が多い、という傾向が、文協の日伯学園検討委員会(松尾治委員長)の調査によって分った。「予想していない反応でした」と同委員長は喜ぶ。
この調査結果は、十二日の日伯学園検討委員会で報告された。青年文協などの協力により、主に若者層に向けてインターネットを通して、十一月にアンケートをとった。
回答者百五十二人のうち、有効回答は一四五人。一三二人(九一%)が学園建設に賛成と答えた。賛成者のうちの八三人(六三%)は小中学案支持、三四人(二六%)が大学案支持という興味深い結果がでた。
小中学案支持の理由でも『日本文化と日本語の普及』が二十五人と最多だった。「より深い理解へ到達するために、子ども時代から日本文化に興味を持たせる教育が基本だ」「高校では受験勉強が忙しく、日本語どころではなくなるので、それ以前にやったほうがいい」「他の民族系コミュニティはみな立派なバイリンガル学校を持っている。以前はゲットー(閉鎖社会)を形成すると嫌われていたが、現在はむしろそういう特色のある学校が求められている」。
同様に『子ども時代の性格形成』も十九人が支持する。「性格形成する時期にこそ日本文化を教えたほうが効率的」。また『人格形成』を挙げる人も五人おり、最も伝統的な意見が若者層においても最多数を占めた。その他、「大学教育は限られた人間しか享受できないが、小中学校ならより多くの人が恩恵を受けられる」と書き込んだ人もいた。
大学案支持の理由としては、『日本文化と日本語の普及』が八人と最も多い。「親から強いられがちな子どもと違って、大学なら本当に自分の興味で勉強する人が多い」「非日系への門戸を解放する意味でも大学の方が予想外の収穫が期待できる」「大学レベルで日本文化を勉強できるところが少ないから」などを具体的に挙げている。
また、『日伯交流』を強調する意見も七人と多く、中でも「科学技術の交流を盛んにし、お互いの国の労働市場を開放する」意見も見られた。
大学案でも小中学案でもないと答えた人の意見では、「両方必要」が四人、職業訓練学校が二人、専門学校学校が三人だった。
この回答者の一三七人(九五%)が十六~三五歳で、残り八人が三六歳以上。つまり、青年層が大半を占める。男性は八二人(五七%)で、女性は六三人(四三%)。大サンパウロ圏在住者が一二九人(八九%)だった。
来年一月十日までに、それぞれの委員が各自のコメントをまとめて提出することになっている。松尾委員長によれば、「青年たちの返事が遅れたため、百周年記念事業案と提出するのに間に合わなかった」という。「第二次募集の時には出すつもりです」。
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今回のアンケート回答者から抽選で、来年上半期日本語コースを無料で受講できる権利が当たった。文協日本語コース分当選者がガルパール・ミウラ・ヤマザキさん(一八、サンジョゼ・ドス・カンポス在住)、日伯文化連盟分はエステール・エミ・ウメキさん(三〇、サンパウロ市在住)。