ホーム | 日系社会ニュース | 「ソノコさん」と親しまれて=救済会定年制で=吉安事務局長が退職

「ソノコさん」と親しまれて=救済会定年制で=吉安事務局長が退職

12月24日(水)

 救済会(左近寿一会長)が定年制を導入することになり、吉安園子事務局長(七五)ら四人が今年いっぱいで退職することになった。同会は二十二日午後、記者会見を開き明らかにした。同事務局長は「憩の園が地域社会に開かれた施設に成長することを願っています」と涙を拭った。
 左近会長によると、今年六月に定年制導入を決定した。だが、〃参謀役〃である事務局長が不在になってしまうという懸念から、これまで公式発表を行わなかった。
 定年の対象になるのは事務局長が男性七十歳、女性六十五歳で一般職員が男性六十五歳、女性六十歳。若い世代の人材育成と経費削減が主な目的だ。
 吉安事務局長はクチリーバ大学社会福祉科を卒業。五八年三月に救済会に入った。故渡辺マルガリーダ初代会長の右腕になって、四十五年間、事務仕事を切り盛してきた。「両肩にかかる負担は大きかった」(左近会長)。
 「ポルトゲースと日本語がよくできて、頭もいいし、わたしのできないことをぜんぶやってくれます。それだから、わたしも安心してやれるんです」(『ドナ・マルガリーダ・渡辺』より)
 渡辺初代会長は著者前山隆氏の取材に対して、そう評価した。
 左近会長は吉安事務局長を〃シャーベ(鍵)〃のような人と表現。「我々、現役員はみんな新しい。古い人と言えば、園子さんと大浦文雄さんぐらい」と退職を惜しんだ。
 吉安事務局長は「昔は六十歳でも年寄りと言われたが、今は八十、九十、百まで生きる時代」と現状を認識。「施設だけで高齢者の介護をするのは無理。地域福祉を充実させていかなければならない」と関係者にメッセージを残した。ときおり、声に詰まる場面も見られた。
 来年からは、不定期に事務局を訪れ、各種の仕事を手伝う。左近会長は「書類上は定年になった」と語った。今後も後進を育成するため協力してほしい様子だ。
 後任人事はまだ、正式に決まっていないが、候補者はいる。ただ、個人的な事情から勤務時間に融通性を持たせることが出来ない。そのため、当面は職員が事務局長の仕事を分担しながら、様子をみる。