さきに霞ケ浦の養殖鯉がコイヘルペス・ウイルスにより大量死したあと、新潟でも錦鯉が同ウイルス感染で死んだことが確認された。このことはブラジルの錦鯉愛好者の間でも大きな波紋を巻き起こした▼日本側が毎年、ブラジルに送ってくれる稚魚は、しばらく来ないことになった。ウイルスが人には感染しないことが明らかであるにもかかわらずである▼ウイルスは、なんらかの人為で日本に持ち込まれた。その伝染経路の解明がなされていない。それがわかるまで、鯉は海外には出すまい、という決定のようだ。日本側関係者の措置は当然である▼関連した話だが、ブラジル側でも錦鯉愛好者団体が「鯉とウイルス」に関して、ブラジルの淡水魚研究機関や錦鯉品評会会場管理当局と話し合った。愛好者団体は、人への感染はない、とされていても、次回の一般公開の催しに備え、当局の理解を求めたのである。ブラジル側は、日本における鯉の大量死をすでに知っていたという▼鯉の大量死は、識者の間では、グロバリザソンの時代の出来事ととらえられている。わからないことが多過ぎる、という意味でもある。さきに猛威をふるったSARS(重症急性呼吸器症候群)を思い起こさせたりする▼ブラジルに日本から毎年贈られる錦鯉の稚魚は、一般への錦鯉普及活動資金に充てられていた。少なくとも来年はこれがない。ほかに資金を調達する必要に迫られる。ともあれ、鯉の世界の早期の〃復旧〃を期待しておこう。(神)
03/12/24