12月25日(木)
【ヴェージャ誌】ルーラ大統領の中東歴訪は、通商的成果はなく外交能力は自負するほど評価されず、政治的損失のほうが気掛かりだ。大統領のやり方で批判されることが、二つある。さしたる成果のない社会保障政策と、相場が知れた外交能力だ。
対外政策では世界の勢力地図を書き換え、国際貿易のルールを変更しようと試みた。当たり前に取り組んで正攻法を採るなら、ブラジルの外交能力は国際的にたかが知れている。
大統領の中東歴訪目的は、通商と覇権外交に対抗する途上国の結束であった。結果は、徒労だったようだ。訪問国のアラブでは、映画さながらの美女の踊りと天幕の中の族長会議を開催した。ここでは原稿を間違え、先進国の横暴と民主政治を取り違えて訴えた。
優秀なブラジルの外交官らは、今回の風変わりな中東歴訪の真意を理解できなかった。共和国大統領が、なぜ国際テロを支援する独裁者を訪問する必要があったのか。リビアとシリアでは、民主主義という言葉はタブーなのだ。
「ひげ面外交」で、ブラジルの外交政策は定評がある。名付け親は一九八一年、駐伯米大使を務めたモトレイ氏で、国家主権にこだわる一行というやゆ的意味合いがある。PTは政権取得後、中道派のマルコ・A・ガルシア氏を外交顧問として迎えて盛り上がりを見せている。同氏はPTの外交意欲をかうが口べたで反米派、実務はかけだしだと評価している。
ルーラ大統領のキューバ訪問とシリア、リビア訪問をアラブのピクニックと呼んだ。外交政策ではなく世間を騒がせただけと、ラッフェル前外相は批評した。先進国に対する途上国の立場を、経営者に対する労働者の立場に置き換えるのは危険だと忠告した。国際関係とは、もっと複雑多岐で無数の要因がからみあっているとした。