12月25日(木)
【ヴェージャ誌】経済の回復と求人は、あまり関係がないようだ。米国は十九世紀、十二万人の職工が馬車製造に従事していた。自動車の発明により馬車製造業が廃業に追い込まれ、カオスが起きると思った。
しかし、事実は逆であった。自動車産業は、多数の雇用を創出した。自動車産業は、裾野が広い。組み立て業だけでなく、部品製造から座席製造、タイヤ製造、デザイン製作、道路拡張、道路舗装と次々新産業が起こった。トラックの出現により運送業が始まり、消費市場が拡大された。
コンピュウターの出現でも、米国で同じような現象が起きた。三千八百万人が失業し、七千五百万人の雇用創出が起きた。ブラジルでは九〇年代、コンピュウターとオートメの導入により二百万人が失業し五百万の雇用創出が起きた。
時代の進歩は、雇用創出よりも人員整理が強調される。不要となる職種は目立つが、これから創出される雇用はバーチャル(仮想)職種だ。具体的に提示できない概念の職種。バーチャル職種は、無数の雇用を生み出している。バーチャルの波に乗れる人と、乗れない人の格差をつくる。
インターネット人口は、年々確実に増加している。仮想店舗や仮想顧客が、急増している。権利金も内装設備も不要な仮想店舗が、実在店舗を侵食しつつある。ものの世界から概念の世界へ、すべてが変革している。バーチャルでとらえる発想の転換が要求され、従来の発想では時代が分かりにくくなっている。