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ブラジルの牛肉輸出、倍増も=米の狂牛病発生で=短期的には20%増と予測=急がれる衛生対策投資

12月27日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】ブラジル牛肉輸出協会のプラチーニ・デ・モラエス会長は二十四日、米国の狂牛病発生に伴いブラジルの牛肉輸出が二〇%増加すると報告した。二〇〇三年の牛肉輸出百三十万トンは、二〇〇四年には百六十万トンに増える見込みという。そのために衛生管理への投資を強化し、衛生関係職員を増員する必要があると述べた。口蹄疫で閉ざされていた市場がこの機に開かれるなら、ブラジルの牛肉輸出は倍増する可能性がある。

 米国での狂牛病発生が確認され、ブラジルへの注文が急増すると予想されている。しかし、当国の衛生管理態勢は四百五十人の衛生監督官が東奔西走している状態で、世界からの注文を受け付けるには不十分だと、モラエス会長は現状の限界を苦言した。
 衛生設備が、完備した精肉解体工場の数も不足している。衛生局の監督能力と製品の品質管理も限界にあると、同会長は指摘した。来年に起こり得る注文攻勢へ対応するには、態勢が不備であると訴えた。ブラジルの牛肉が国際市場で見直される機会であり、動物の検疫は最優先事項であることを強調した。
 ブラジル産牛肉が出回っているのは、国際市場の五〇%に過ぎない。口蹄疫から完全に解放されていないため当国産牛の生肉は、日本をはじめ米国、メキシコ、カナダ、韓国、大洋州諸国への輸出が閉ざされている。この機会にこれら諸国への輸出の扉が開かれるなら、ブラジルの牛肉輸出は倍増するものとみられる。
 同会長と協会幹部は二十三日、ルーラ大統領を訪ねた。牛肉輸出と衛生管理強化のための投資を、優先するように要請した。二〇〇三年は肉牛の衛生対策のために八千万レアルの予算が組まれたが、実際に投下されたのは千二百万レアルに過ぎなかった。
 二〇〇四年度予算では、さらに六千三百万レアルに減額された。政府が同問題に本腰で取り組むなら、一億三千万レアルが必要という。これまで缶詰め肉しか輸入しなかった米国が、ブラジル産生肉の緊急輸入を注文した。来年上半期分の衛生検疫を通過し、米国向け牛肉輸出の扉は予測より早く開かれると、関係者はみている。