1月6日(火)
【アゴーラ紙】十二平方メートル余りの部屋に六十人程の人が、持病の全快の期待に胸を膨らませながら待っている。しかし、その期待は激痛に変わるー。
彼らはそこで蜜蜂に刺される。動脈硬化、関節炎、リューマチやその他の炎症の治療に使われる蜜蜂の「注射」は、五回から百二十回にまで及ぶ。
サンパウロ市から五百六キロ離れた、ミナス・ジェライス州ジュイース・デ・フォーラ市の小さな家でこの治療法は誕生した。元軍曹だったルイース・ペレイラ・ダ・シウヴァさん(五四)は二十六年前、軍事訓練の後遺症である、あばら骨の痛みを和らげるためにこの治療を始めた。養蜂を大学で学んだルイースさんは蜜蜂を使った療法家を自認している。
ルイースさんによれば、現在、この治療法を採用しているのはブラジルでは彼だけだという。蜜蜂の毒に含まれるプロテインが炎症を抑える成分を形成することが外国の研究で確認されている。
サンパウロ市、リオ市、ベロオリゾンテ市や米国からも、何十人もの人が毎日ルイースさんを訪れる。しかし、治療は毎週土曜日と月曜日の午前七時から午後三時までの間にしか行われず、受付は先着順(受付用の電話もなし)。治療費は無料だが、患者のほとんどが五レアルを寄付していくという。
「金儲けをする気はない。ただ患者さんたちがちょっぴり安らげるようにしているだけなんだ」と話すルイースさんは治療の後に処方せんを渡す。薬はプロポリス、はちみつでできたゼリーなど蜜蜂に関係あるものばかりだ。
免疫学者のカンポス氏は蜜蜂の毒の効用を信じてはいるが、科学的な裏付けはないと注意を促す。「炎症に対しては効果が認められるが、毒の成分に体が拒否反応を起こす場合もある。治療前にアレルギー反応をテストする必要がある」。保健省とブラジル医師協会は特に治療効果があるとは認めていない。