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ブラジル3次産業は揺籃期=〝未開地〟にチャンス=名コンサルタントが助言

1月8日(木)

 【スセッソ誌】コンサルタントとしては最も知名人の一人アントニオ・M・トレヴィサン氏は、現代はチャンスに満ちた時代だという。チャンスをとらえる秘訣は創造力と協調性だと断言した。

 ブラーマとアンタルチカの合併に尽力したのは、同氏だ。現在は、ネッスルとガロットの合併で奔走中だ。同氏は、合併と下請け方式の専門家とされる。次は同氏との一問一答。
 【御社が倒産して再出発したら、同じような会社を再度立ち上げられるか】難しい質問だ。各時代に合ったそれぞれのチャンスがある。今日のチャンスと昨日のチャンスは違う。同じやり方は、二度と通用しない。再出発するとしたら、別の方法を講じる。
 業界で私が始めた社員教育方式は、もう珍しくない。新しく始めるなら、輸出と税制指導の分野に挑戦する。企業の給与に対する銀行融資でも新しいチャンスがある。高齢者産業や墓掃除も新しいビジネスだ。黒人の地位向上のためのビジネスもある。ブラジルのサービス産業は、揺籃期だ。
 【ブラジルの雇用環境は、改善するか】問題は全求職者が、IBMやマイクロソフトへ殺到すること。完成したことへ挑戦するのは、時間の無駄だ。チャンスは、未整備の所にある。ブラジルの企業が成長しても、職場は全員に行き渡らない。技術の発達が、労働者を不要にさせる。結論は使う人になるか、使われる人になるかだ。企業は仕事を下請けに出すか、傍系に任すことしか考えていない。
 【若年層にそれを理解できるか】若年層が大学で最も注目して欲しいのは、国際学科。ブラジル人は、外国に関し知識不足だ。ブラジルの産業は、国際強調方式を採るように大統領へ進言した。ブラジル人全員が世界へ、ブラジル製品のセールスマンとして旅立つ必要がある。雇用の創出ではなく、チャンスの創出に挑戦することが肝要だ。
 【零細企業にとって現実は厳しい。どうしたら生き残れるか】厳しいが一時的現象だ。政府が打ち出した四政策、家電製品へのローン、自動車のIPI減税、給与への低金利融資、年金の先払い融資は、効果をもたらし市場が動き出す。零細企業は、この波に乗るように努力することだ。
 【来年を生き残るためにアドバイスを】企業家は行商人の精神で、たゆまぬ挑戦をすること。挑戦は新しい共同経営や協定、市場への道を開く。最初から華々しいものではないが、将来への夢につながる。
 【企画、企画といいながら、あなたは社長の娘と結婚したが】企画も計画もなかったが、目標と心意気は常にあった。ブラジルはチャンスに出会ったら、しがみつくこと。大学卒業、就職、部長、社長のコースもよいが、必ずライバルがいて成功の確率は低い。それより戦略を立て臨機応変に取り組んだほうが近道になる。
私は社長就任をあきらめて、独立した。人生の青写真は、どんどん修正すること。
 【英語が下手だからと約束された将来を捨てて、独立した動機は】ゼロから始めるよりは、冷や飯を食ってがまんしたほうが楽だ。しかし、ブラジルは八〇年代から新しい時代の過渡期にあるという読みがあった。経済政策、企業家の考え方、企業ランクが変わりつつあった。その構図は、今日も同じで変わっていない。
 企業は新しい経営方式、新しい税務対策で指導を求めている。市場には未開拓分野が常にある。新しい時代に相応しい経営法を、幹部に叩き込む必要がある。
 【会社成長への近道は】
近道は、有能な社員を採用すること。能力に見合うだけの給料を払えないなら、歩合制か能率給にする。これは飛躍的効果がある。
 【有能な社員を採用して、失敗しないか】会社の幹部が犯す最大の過ちは、自分の頭で想像したアイデアや製品を発表することだ。それが、社会や顧客のニーズだと思っている。私も三回、このタイプの過ちを犯した。最初の過ちで落胆する必要はない。大企業といえども、一つの成功の陰に九つの苦い失敗がある。 
 【その他の失敗は】ビジネス・スクールを開校し、入試は大企業の面接並みの口頭試問を行った。これが不評で失敗。入学希望者が、口頭試問で優秀さは分からないという。それで超難解の筆記試験をやった。結果は見事なものであった。自分の自信を自負する人の優秀さを認めるべきだ。 
【損して得を取れを、どう思うか】不況時は、特に教訓だ。私の会社は不況時に開業したので、顧客は私のサービスに対し報酬を払う資金がなかった。私は無料で種をまき、顧客が収穫をしてから報酬を払った。不況時は、不況に合わせた経営法が必要だ。
 誰もがしていることをしたって、他人より先んじることはない。まだ市場にないサービスを、考え出すことだ。顧客に対し貸しをつくっているのだ。市場が正常化したら、今までまいた種が一斉に芽を出す。現在は大企業が、私のマネをしている。だが元祖は私だ。