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スキンカリオルが躍進=ビール市場の14%占有

1月8日(木)

 【スセッソ誌】業界シェアがかつて四%しかなかったスキンカリオル・ビールが、二カ月の間に一〇%から一四%に引き上げたことが話題になっている。サンパウロ州イトゥー市に本社を置く同社は、従業員六千人、年商十億レアルの企業。一九八九年、地方都市や居酒屋などに製品を売り込んでいた。
 そのスキンカリオル社が、庶民層を標的に廉価販売で大サンパウロ市圏へ売り込みを始めた。二〇〇三年には一億二千万レアルの広告宣伝費を投入してキャンペーンを張った。同社は、広告代理店にフィッシャー・アメリカを選んだ。札束を積んでキャンペーンを張ったくらいでシェアの獲得は、できないのが業界の常識だった。
 同社はキャンペーンに先立ち、スキン・ビールの風味について消費者の印象調査を行った。結果は苦くてハード、印象に残るものがない。スキン・ビールの特徴がないなどと出た。広告代理店のフランクッチ販売促進部長が協力して、〃ドライでソフト〃を売り物にすることを提言した。
 同社スタッフは、ブラジル人の趣向にあった新たな風味に挑戦した。また包装も取り替えノーヴァ・スキンと命名し、ビール業界に新入りが誕生した。スタッフは新製品発表に失敗したら、汚名返上は用意ではないと覚悟していた。
 キャッチ・フレーズは「ちょっと試飲してみなさい」で決まった。大衆の中にゼッカ・パゴジーニョやフェルナンダ・リーマを紛らせ、愛飲者であることを演出させた。九月に販売促進を始め、十月には一〇%から一四・一%にまでシェアを上げた。
 ビール業界のシェアは、一%が一億レアルに相当する。ノーヴァ・スキンが四%シェアを上げると、予想外の売上金が四億レアル同社の金庫へ転がり込む計算。しかも二カ月の間に。市場が景気低迷で、青息吐息の状態での出来事なのだ。
 このスキンカリオルの適時打は、産業界の夢物語となっている。ノーヴァ・スキン成功の秘訣は誰にも説明できない。なぜノーヴァ・スキンが、爆発的な人気を呼んだのか。販売促進の専門家らも、敬服している。
 販促業者らは完全な計画を立てても成功するとは限らないのに、この成績は何か。時代は、三カ月ごとに変化している。チャンスは小回りのきく小企業に、有利だったといえそうだなどとコメントしている。速戦即決と廉価な行動力が売り物の小企業に、大企業が見落としている市場が見直されているといえそうだ。

 [訂正]
 過去の記事の中で「シンカリオール」と表記してきた社名および商品名は、正しくは「スキンカリオル(Schincariol)」でした。お詫びして訂正します。