1月8日(木)
史上最多となる二百二の国・地域が参加するアテネ五輪。開幕まであと七カ月と迫り、各国での代表選考も熱を帯び始めてきた。トライアスロンの大畑マリアーナ選手(二四、ポン・デ・アスカール・クラブ)が二大会連続でブラジル代表入りを決めた。サンパウロで休暇中の大畑さんに電話取材をした。
「トレーニングを積むこと。ただ、それだけです」 言葉少なにそう、今の心境を語った。今大会こそは十分に実力を発揮させたいとの意気込みが受話器ごしに伝わってきた。
前大会のシドニー・オリンピック(二〇〇〇)。トライアスロンが初めて、正式種目に加わった。大畑さんは自転車の競技中に前の走者と衝突。頭を打ち、二十二位と不本意な結果に終わった。
さらに、〇二年のパン・アメリカン大会後にドーピング疑惑が持たれるなど不運にも見舞われた。それだけに、アテネにかける思いは強い。
「出来るだけ良い順位をとりたい。もちろん、目標はメダルを取ることです」
サントスで四日、ファースト・トライアスロンの世界選手権が行われた。ブラジルはカナダに三十ポイントの差をつけて優勝。サンドラ・ソウダン選手が個人を制覇するなど好成績を収めた。
大畑さんも四位につけ、アテネに向け好発進を切った。「ブラジル代表が勝ったことに意義がある。満足している」。
母カルメンさん宅で現在、休養中だが、一週間後にはブラジリアに戻って、トレーニングをスタート。ポルトガルでの大会(五月)などに出場しながら、体を調整していくという。 ブラジル日系人では、パウロ・ミヤシロ(トライアスロン)、ユーゴ・オヤマ(卓球)、バニア・イシイ(柔道)らの代表入りが有力視されている。
大畑さんはブラジリア出身の日系三世。九七・九九年のブラジル大会、九九・〇〇年の南米大会で優勝した。〇三年十二月の世界ランキングでは十位。
父、ミュートンさんは元水泳選手。五六年に日本で行われた世界選手権の五十メートル金メンダリスト。大畑さんの特別コーチを務める。祖父、天昇さんは円光寺(イタペセリカ・ダ・セーラ市)の布教使。