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コラム 樹海

 戦前の日本には「支那にや四億の民がいる」の歌があり雄偉な若者の胸を躍らせたりもしたが、今や十二億五千万人を軽々と突破する超大人口王国である。余りの増え過ぎに政府は「一人っ子政策」を強制し庶民からの猛反発もあったけれどもそれでも国民の数は増加し続ける。そんな中国が二十二日からの春節(旧正月)を控え何と延べ十九億人が大移動するそうだ▼上海などの急成長しているメガ都市に集まる労働者の殆どは奥地の農村からの「デカセギ」が多い。こうした人々が年に一度の正月に故郷に帰り家族と楽しむの習慣は今も絶えない。お土産もあることだろうし「十九億人が動く」だけではない。或いは背に荷物を背負い手には持てるだけ持つの決死の姿も珍しくはないのではないか▼バスや鉄道に乗っての帰省なので当然ながら車内は大混雑する。人口がやっと一億と少しの日本だって盆暮れの新幹線の混み方は常軌を逸しているし、乗用車は渋滞の列が延々と連なり二百キロに近いとかの異常が発生する。確かに中国は大きい。その昔、満州国のあった中国の東北三省では、地平線を見るのが当たり前という国である▼だがーである。片道に十億人近い人々が「動く」となるといささか気が重くなる。とは言っても面倒だからと大都会で「寝正月」を決め込むのも古来からの生活慣習から離れるのも難しい。正月ともなればサンパウロでも同じような風景が展開されるけれども、脱サンパウ聖組は精々が二百万人。十九億人とはとても比較にならない。    (遯)

04/01/08