岐阜県警からブラジルに語学研修に来ていた二人の若い警察官が、来月、およそ五カ月の研修期間を終えて帰国する▼ブラジルは思っていたより暮らし易かった。ブラジル人が、日本のように(わたしたちを)外国人という見方をほとんどしない。そういうところに心地よさがあるのではないか――帰国をひかえての感想である▼ブラジルという国の、いい意味での懐(ふところ)の深さを感じ取ることができたのだと思う。来伯前は、不安が多かった。治安が悪い国だと聞いていた。現地に来て、周囲から助言を受けて、やみくもに心配しなくてもいいことを知った▼岐阜県にもデカセギが増え、警察署の仕事でブラジル人と接する機会が増えた。各種相談、交通事故、交通違反、犯罪被害の届け出など、日本人である、外国人である、とかは関係なく、接しなければならない必要に迫られた。そこで問題になったのは「言葉」だった。岐阜県警は、先年もブラジルに語学研修生を派遣しているが、昨年、さらに二人を送り込んできたのだった▼研修生の来伯目的はポ語の習得のみでなく、ブラジルを肌で感じ、固有の文化(価値観といいかえてもいいか)、ブラジル人の行動様式といったものを理解することだった▼二人の研修生は、ブラジルが意外と暮らし易かったことのほかに、言葉の壁がある外国人の立場を理解した。帰国したら、日系ブラジル人のためにブラジル生活の体験を役立てたいといっている。期待してよかろう。(神)
04/01/09