1月10日(土)
「リベルダーデを歩いていると、どこに行くことも無く、ベンチで座っている日系人の姿が目立った。その人たちのために図書館を作りたかった」。サンパウロ青年図書館(天野鉄人代表、ヴェルゲイロ街三五一二)創立者の一人故青鹿昇さんの言葉だ。故青鹿さんはブラジル側の代表者として活躍。〇二年に昇さんがなくなった後は、夫人の幸子さんが運営を取り仕切っている。一月、同館の現状を幸子さんに聞いた。
堅牢な建物は、古くからの民家で、かつては小規模な図書館として利用されていた。昇さんは、同窓の友の天野さんと図書館建設で意気投合。天野さんが、日本側で資金と図書を集める傍らで、青鹿さんは建物の建設や交渉に奔走した。また、地方出身者のために女子学生寮も付け加えた。こうして、日本語普及を目的とした同館は、九二年に誕生した。
幸子さんによると「蔵書数ははっきりと分からないが、少なくとも一万冊以上はある」とのこと。蔵書の大半は漫画で、少女漫画が多数を占め、小説、週刊誌、ビデオもある。現在のスペースで入りきらない本は、倉庫で保管。これまでは、図書の入れ替えを二回行ってきた。
「平日の来館者は二桁に満たないが、休日は三十人近くの人が訪れる」と受付の女性は明かす。「昔は日本語学校の生徒がよく訪ねてきた。本を汚さないように、外で弁当を食べていたものだ」と幸子さん。現在は、高齢者から学生、日系から非日系と来館者層は幅広いが「十歳以下の、こどもが少ない」と受付女性は残念がっていた。
開館時間は平日午後三時から午後七時まで、土日は午前十時から午後七時までで、月曜日が休日。年会費は半年で三十レアル。図書の貸出しは一回五冊で三週間まで、ビデオは一週間まで。