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新年早々から伯米が緊張=注目される首脳会談=入管、貿易協定に深い溝=リオ市は米国人登録不要

1月13日(火)

 【既報関連=エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙十日~十二日】新年早々からブラジルとアメリカの間で摩擦が生じており、外交関係がぎくしゃくしている。ブラジル連邦警察による米国人のみを対象にした入国審査の続行や、米州自由貿易地域(FTAA)でのブラジル側の頑なな姿勢が、米政府を苛立たせている。メキシコ北東部モンテレイで十二日、二日間にわたる米州首脳会議が開幕。同日午後二時の情報では、ルーラ伯大統領は同日夜、ブッシュ米大統領と会談する。二人の会話がどのようなものになるか、注目されている。

キューバを除く米州機構(OAS)加盟三十四カ国の元首が出席する今回の特別首脳会議(サミット)では、南北米州とカリブ海地域のテロ対策や、不法移民問題などがテーマになる。
 ビザを取得して米国入りする外国人を対象に、米国が五日から実施している顔写真撮影および指紋採取をめぐって、ブラジルは〃報復〃として入国する米国人に同様の登録を義務付けている。
 この措置はマット・グロッソ州連邦裁判所の命令でとられたもの。対米外交の悪化を懸念したブラジル政府は、同裁判命令を無効にするよう申し立てる姿勢を一時期示していた。だが九日、ジルセウ官房長官が「政府が無効申し立てをする可能性はほとんどない」と声明。両国の入国規制問題の解決の道は、両大統領の会談にかかっている状態だ。
 一方、カーニバル期の観光客数の減少による観光産業の衰えを恐れたリオ市は、すでに同命令の無効申し立てをしていた。十二日、第一連邦裁判所(ブラジリア)のカストロ・アウヴェス裁判官は、同市の申し立てを受け入れ、リオ市のみ米国人観光客の登録命令を無効とした。
 同裁判官は、「ブラジル連邦検察庁は米国の入国管理制度を批判しているが、米国にはテロ対策という正当な理由がある。ブラジルには幸いこのような問題はなく、ただ『相互主義の原則』に従って同様の措置を講じることはできない。米国人観光客の訪伯を減少させることは、国内の観光産業にも多大な悪影響を出すことになりかねない」と、報復措置の不当性を訴えた。
 主要観光地リオでこのような動きが見られながらも、ルーラ大統領がブッシュ大統領に求めることは「ブラジル人観光客に対する厳しい入国管理の取り消し」だと、フォーリャ紙は報道している。ルーラ大統領は、テロの対象となった米国の立場に理解を表明する一方で、ビザ取得時に在ブラジル米大使館側から厳しい検査を受けるブラジル人に、入国時にまで厳重に審査することは喜ばしくないという意思を表明する。
 対してブッシュ大統領は、ブラジルとのより深い意思の疎通を求めている。カルドーゾ前政権で積極的に進められた二国間計画(主に技術・科学面)が、現在のアマラル外相との間ではほとんど話題にも出てこないことを米国側は懸念している。
 FTAA協定に一項目を加える件では、ブラジルはマイアミで交渉された事項以外の項目を加えることに断固として反対しており、ここでも米国と対立している。米国側は、両国の間の溝が深まる前に対策を打つ姿勢を見せている。