1月13日(火)
【エポカ紙】離婚調停を行う弁護士事務所や夫婦の心理カウンセリングを行う診療所で頻繁に登場する言葉、「不倫」はブラジル人男女の間でますます増加しつつある。その実態は明らかではなかったが、ブラジル世論調査・統計機関(Ibop)は昨年、十三の州で七千人以上を対象に「ブラジル人の性生活」についての調査を初めて実施。ブラジル人男性の半数、女性の四分の一が配偶者以外の相手と一度以上不倫の関係を持ち、愛人とのセックス(月平均十三回)は夫や妻のそれ(同十回)より多いことが白日の下にさらされた。
調査結果は州によって不倫経験に開きがあることを示した。男女平均ではリオ・グランデ・ド・スル州が最も多く(男性六〇%、女性三二%)、パラナ州が最も少ない(四三%、一九%)。
不倫経験のある男性が多い州はバイーア州(六四%)、パラー州(六二%)、セアラー州(六一%)で、女性はリオ州(三五%)、リオ・グランデ・ド・スル州(三二%)、リオ・グランデ・ド・ノルテ州(三〇%)。 逆に少ない州は男性の場合、パラナ州(四三%)、サンパウロ州(四四%)、ペルナンブッコ州(四九%)、女性はパラナ州(一九%)、パラー州(二〇%)、サンタカタリーナ州(二三%)。男女差が最も大きい州はパラー州(四二%)で、少ない州はサンパウロ州(二〇%)となった。
「人々がこうした調査に慣れていない地域も扱ったので、羞恥心のため、あるいは男らしさを誇示するためにうそをついた人もいるだろう」と調査責任者のカルミッタ・アブド・サンパウロ総合大学教授(心理学)はコメントした。一般的に女性は愛人の数を少なく、男性は多く話す傾向があり、不倫の定義にも男女差がある。「長期間にわたって性的関係を維持する場合だけを不倫とみなす男性もいる反面、多くの女性はたった一夜の冒険を不倫と考える」と同教授は話す。
ここ半年間に二人以上の愛人と関係を持ったと答えた男性は一一・五%、女性は二・五%。少なく思えるが、〇二年に二十九カ国で実施された不倫経験数についての調査では、ブラジル人男性は九位、女性は十三位を占めた(男性の一位はタイ、女性の一位は南アフリカ。日本は男性が二十六位、女性は二十位)。
女性の社会進出が進むにつれて、男女とも結婚相手以外の異性と一日の大部分を過ごすようになり、不倫の誘惑にさらされる機会も増えた。「容易になった分、人々は不倫に走りつつある」とサンパウロ総合大学心理研究所のシウヴァ教授は述べた。「特に男性の不倫は増えつつある。女性は全体としてまだブレーキが効いているけれども」。
サンパウロ市カトリック大学夫婦・家族研究所の精神分析家、ラモス氏は不倫を望み、愛人を作るという幻想を持つ人は実行する勇気を持つ人より多いとみる。「人々はそうした欲望を映画などでなだめ、ごく一部の人だけが夢を実現する。男女とも不倫が発覚し、人生設計を分かち合った結婚相手を失うことを恐れている」。
不倫は若者の間に多いが、今回の調査結果によると不倫は四十代の女性、五十代の男性の間で多区なっている。「四十歳になると女性は老いてゆく自分を見つめ始め、不倫のチャンスを生かすことに乗り出す。男性はもう少し後でこうした時期を迎える」とアブド教授は分析する。
ブラジルで研究が進んでいないのは、不倫の夫婦関係に及ぼす影響だ。イギリスやスウェーデンと同様、ブラジルでは離婚理由の三分の一が不倫と推測されている。
不倫した相手を許すのは難しい。自尊心が揺らぐからだ。裏切られた男性が相手の女性をなかなか許せないのは、女性は愛人に深くのめり込むことを知っているからで、不倫された男性は相手の肉体だけでなく心も失う。一時的なよろめきであることが多いため、女性はまだ男性を許しやすいが、心の傷が癒えることはない。
相手を許し、不倫を清算できなければ離婚―慰謝料の支払いや資産の分配―という高い代償を払わなければならない。慰謝料は数百万レアルに達することもあるという。
〇二年に施行された民法はインターネットを通じた「ヴァーチャルな不倫」に対しても罰則を規定した。「インターネットを通じて性的なメッセージを長期にわたってやりとりする関係は、一夜の過ちよりも屈辱的で激しい苦痛を裏切られた側に与える」とマッケンジー大学法学部のレジーナ教授は話す。不倫の証拠はEメール。同民法はプロバイダーにネット上で交換されたメッセージにアクセスできるよう義務付けている。肉体関係に及ばなくてもネット不倫は慰謝料請求の対象となる。