1月13日(火)
イタペセリカ・ダ・セーラの円光寺(曹洞宗)で最近、仏壇や位牌を引き取ってほしいという依頼が増えている。世代交代が進んで、ブラジルの国教であるカトリックに改宗する日系人が多いため。大畑天昇布教使は「こういう傾向は今後ますます、顕著になる」と懸念。若い世代を仏教に取り込むような活動を展開させていきたい考えだ。
各檀家が先祖代々の霊を祭るための専用部屋。その最奥の棚に、引き取り手のいない位牌がずらりと並ぶ。「シロアリの被害があっていたものは焼却処分にした」とはいえ、かなりの数に上るよう。中には明治天皇の遺影も。
仏壇は引き出しの中に保管されている。「手入れもされずに放置され、線香すらあげていなかった」。数千レアルもする高価な品物もある。
「私たちはクリスチャンだから、もう仏壇も位牌も要りません。だから、代わりに供養をしてくれませんか」
寺の落慶(二〇〇一年)と同時に、そんな問い合わせが舞い込んでくるようになった。昨年だけで三十二件。これまでの累計は百件以上に上る。ミナス・ジェライス、パラナなど他州からも照会があった。
曹洞宗だけでなく、日蓮宗、真言宗などほかの宗派のものも含まれていた。「根っこである先祖を大切にしないと幸福も向上もあり得ない。そういう人たちの先祖を祭ってあげたい」という思いから宗派に関係なく、引き取っている。
三世四世となるにつれ、仏教への関心が薄くなるのが主な原因だ。大畑布教使は「洗礼を受けなければ入学出来ない学校もありますから」と眉をひそめる。
座禅などを通じて、同寺は仏教(曹洞宗)の普及を図っている。若い世代に焦点を当てた事業を考えていきたいという。