十二日の東京は冷え込みが厳しく市民たちは暖をとるのにやっきだったらしい。露や中国大陸から寒気が押し寄せたのと「放射冷却」の影響が大きかったために午前七時前の寒暖計は一・九度にまで下がり、やっと初氷が張った。気象庁の発表だと、こんなに遅れての初氷は一九二五年の観測開始以来のことで七十九年振り。日本列島が暖冬異変に見舞われているのは間違いなさそうだ▼さて―こちらサンパウロはもう真夏だというのに汗に塗れるような極暑の日はさっぱりこない。日本では一日の最高気温が三〇度を超えると真夏日と呼ぶ。最低気温が二五度以上の夜は、非常に暑くて息苦く寝るのも容易ではないので「熱帯夜」と称しているが、サンパウロでこんなに暑い日夜はない。雨が多いのは仕方がないとしても、カラッと晴れ上がる青空が消えてしまったのは、どうしてだろう▼こちらは、さしずめ冷夏とでも呼ぶべきなのか。秋と冬には雨が少なかったので貯水池が水枯れ。水道の危機が叫ばれたりもしたが、近ごろの雨で何とか乗り切れそうなのは大いに結構ながら、それでも水の貯蓄が十分なわけでは決してない。涼しい夏だからいいようなものの―これが酷暑で汗だくであったなら「水不足」ではとても済むまいに▼今年の正月は二十二度から二十四度程度の気温であり涼しい年明けだったし、三〇度を超す日も未だに到来してはいない。気象観測所によると、サンパウロの気温は年平均に比べると二度から三度は低いそうだが、さて―。この夏は涼しいと思っていいものかどうか。 (遯)
04/01/13