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米州首脳会議が閉幕=ルーラ大統領 先進国を批判=社会問題解決で協力要請=貿易協定でも対立

1月15日(木)

 【既報関連=エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙十四日】メキシコのモンテレイで十二日と十三日の二日間にわたって開催された米州首脳会議が終了した。ブラジルのルーラ大統領は二日目の会議の場で、「過去二十年間にわたって先進国が実施してきた経済政策は、社会的開発を妨げてきた恥知らずなものだ」と厳しい批判の言葉で演説を始めた。大統領は演説で、社会問題を解決するために協力を呼びかけた。会議中、伯米の間で米州自由貿易地域(FTAA)に関する意見の対立も見られた。同大統領は前日夜、ブッシュ米大統領にビザ(査証)免除を求めたが、米大統領の笑いながら「検討する」と言う態度に不満を感じていた。

 モンテレイの米州首脳会議のテーマは「社会開発」。ルーラ大統領によると、経済政策と社会政策を分割することは、社会疎外の主な原因となり、平等な社会を築くことの妨げとなる。それどころか、経済と社会の両者の開発までおろそかになる。演説中、「二〇〇二年までのブラジルも先進国同様の措置を取った」とし、前政権に対してもこれまでになく酷評している。
 ルーラ大統領は初めに、現政権が施行した社会政策などの成果についてスピーチした。「我々は飢餓問題を解決するための戦いを買って出た。貧困者はこれ以上待てない状況にある」。
 次いで、世界中で社会疎外が増加し、過去十年間に労働者一人当たりの所得金額も下がったという国連開発計画(UNDP)の調査結果を述べ、米州諸国の社会問題を解決するため協調の姿勢を求めた。ここで、前記の前政権および先進国諸国に対する辛らつな批判の言葉が述べられた。
 フォーリャ紙はこれに対し、「ルーラ氏は前政権を批判しながらも、前政権の経済・政治政策を維持しており、国際通貨基金(IMF)との契約事項まで厳守している」と大統領の演説の矛盾を指摘した。
 ルーラ大統領はさらに、「現在のブラジルは、大統領職就任時より楽観的な見解を打ち出せる。農家を支援するための融資計画を建て、文盲を無くす努力も惜しんでいない。これらの要素が平等な社会をつくり、国家の成長につながる」と現政権をアピールした。
 貿易に関してルーラ氏は、「それぞれの国家が、鉱業、農業、科学技術、社会、環境面などを考慮した自由な政策を打ち出せる余裕を与えなければならない」と声明。これは、FTAA協定の調整事項の追加問題で、米国との摩擦が絶えない一点である。
 ブッシュ大統領は、ルーラ大統領が触れるべきではないとしていたFTAA問題を会議の一項目に入れた。ルーラ大統領は苦い顔をしながらも、「マイアミ会議でのFTAA協定調整案の総合的な様相の発表という形でなら」と賛成した。
 しかしながら、米国側は、「FTAAに関する米州機関から、汚職職員を期日までに一掃させる」という事項を加えるよう、圧力をかけ始めた。ルーラ大統領は「社会開発がテーマだ」とブッシュ大統領に述べていたが、苛立ちを抑えきれなくなり、FTAA問題の論議に乗った。
 ラ米諸国は、汚職職員の定義がどのようなものになるかを恐れて、事項の加入を拒否し、代わりに「汚職撲滅の努力をする」との約束事項を入れた。
 一方、ブッシュ大統領は、中南米諸国との良好な外交関係を復興および維持させることに専念し、会議も同大統領のペースで進められた。ルーラ大統領の演説中、ブッシュ大統領は全く別の書類に読みふけっており、特に関心を示すというようなことはしなかった。