ホーム | 日系社会ニュース | ■ひとマチ点描■県連の新事務局長

■ひとマチ点描■県連の新事務局長

1月15日(木)

 事務仕事のベテランだ。
 県連の新事務局長にこのたび就任した原泰朗さん(七〇)は、米国系製薬会社でのサラリーマン時代から事務畑一筋。その後、会計事務所を経営。高知、熊本の両県人会で事務局長として務めた経験をもつ。
 マリリアの生まれ。両親は佐賀の出身だ。四歳で日本に引き上げた。戦中の混乱期。父が逝き、草を食べ糊口をしのいだ。一家の窮地を救ったのは玉川学園の創始者、小原国芳氏だった。「母が牛の世話を頼まれまして」。ブラジル暮らしの経験が生きた。
 学園の敷地内に住み、「ロケットの父、糸川英夫博士をはじめ画家、音楽家と多彩な人々」と交流。事務職の基本、タイプライターは米軍関係施設でのアルバイトで覚えた。
 成蹊高校から早大理工学部に合格。そんな折りに帰国中の親戚、宮崎八郎と出会う。上塚周平、鈴木貞次郎と並び「ノロエステ沿線開拓の三巨人」と称された人物だ。「大豆から油をとる事業がある」との誘いに乗り単身帰国を決めた。
 波乱に満ちた人生だった、といま振り返る。会計事務所を譲りレストラン経営に乗り出したが失敗。借金を返済するために息子二人とデカセギに行ったのも遠い昔の話ではない。
 そんな苦労、豊富な実務経験が、今後の仕事に還元されていくことになる。ポ語が達者な点も頼もしい。古希を迎えた帰伯二世が県連の屋台骨を支える。 (大)