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米機長逮捕で航空会社謝罪=罰金3.6万R$支払う=外交問題への発展否定=ごう慢な態度を非難

1月16日(金)

 【既報関連=エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙十五日】ブラジルに入国する米国人対象の顔写真および指紋登録に反抗的態度を示した米アメリカン航空の男性機長(五二)が身柄を拘束された事件で、同航空会社は十四日、ブラジル政府に対して謝罪する内容の公式文書を発表した。同社はその後、同機長の罰金三万六千レアル(最低賃金の百五十倍)を小切手で伯連邦検察庁に支払った。伯大統領府側は同日、米国人機長の行為を「ごう慢な態度だ。これは外交問題ではなく、刑事問題である」と表明している。

 十五日、ブラジル各紙の表紙に、拘束されたDale Robbin Hersh機長の顔写真が報道された。サンパウロ州グアルーリョス国際空港で十四日午前、米国人登録時に撮影されたもの。番号札を持った機長が右手の中指を立てて抗議している。「このジェスチャーは国際的に卑猥な意味を持つ」と、フランシスコ・B・シウヴァ同州連邦警察本部長官は指摘している。
 マルコ・A・ガルシーア大統領府国際広報担当は、「機長の行為はごう慢だ。世界中のどの国でやってもこのように処されただろう」と声明している。
 顔写真を撮影していた入管審査員はすぐ、米国人登録部の担当連警警部に知らせ、即座に現行犯逮捕命令が下された。
 シウヴァ長官はさらに、「この写真が撮影された時、周りにいた同社の搭乗員十人は指紋採取を拒否するだけでなく、入国審査員らや入国管理システムをあざけ笑った」と状況を説明。サンパウロ州連警広報担当のヴァギネル・カスチーリョ警部は、「反抗的態度ではあったが、犯罪ではない。搭乗員十人への措置は入国禁止となった」と話している。
 十人は、連警の管轄セクターにあるアメリカン航空のVIPルームで、同日午後十一時のマイアミ行きの旅客機を待つよう指示を受けた。マスコミの入室は禁じられた。
 一方、機長は同空港内の連警警察署に連行された。同航空のネウソン・マルガリード弁護士は、「あれは誤解である」とし、Hersh機長の写真のマスコミ公開を妨げようとしたが、連警は「犯罪の証拠物件である」と聞き入れなかった。
 同日午後五時、同機長はグアルーリョス市連邦裁判所に出廷した。連警によると、入管事務所での「不正行為ないし係官の指示への不服従」で同機長に有罪判決が出た場合、今回のような軽犯罪であっても六カ月から二年の禁固刑に処されるという。
 検察庁側は、Hersh機長の入管事務所でのブラジル国家に対する侮辱行為と連警の業務妨害を重視し、同機長の月収(一万ドル)金額をもとに罰金額を計算。三万六千レアルに定め、機長の身柄を解放することにした。罰金はグアルーリョス市のサンヴィセンテ・デ・パウラ老人ホームに寄付される。
 アメリカン航空は同額の小切手を発行し、機長は同日夜、身柄を解放された。同社は十五日に、この小切手を現金あるいは預金小切手(銀行などの金融機関が保証するもので、安全性が高い)と交換し、連警が押収している機長のパスポートの返却を求める。
 マルガリード弁護士は、Hersh機長は状況を理解していると言明。知らず知らずのうちに卑猥なしぐさをしてしまい、誤解を招いたと弁明しているという。
 ブラジルは米国に入国する外国人の指紋・顔写真登録を始めた米政府に反発し、米国人に対して同様の措置を一日から開始した。ルーラ大統領は査証免除協定を米国に提案。パウエル米国務長官が二月に訪伯し、ビザ問題についてアモリン外相と話し合う予定だ。