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伯パルマラット社調査へ=ブラジルに横領資金流入=系列カリタル社が操作=100億ユーロ規模の疑惑

1月22日(木)

 【既報関連=各伯字紙経済面二十一日】ブラジルの国税庁、連邦警察(連警)および中央銀行(中銀)はこのほど、経営破たんしたイタリア食品大手「パルマラット」不正会計疑惑の件で、同社の元会計士の「横領された同社の資金の大半がブラジルへ流出した」という告発内容を重視し、同ブラジル子会社(伯子会社)の過去数年間の会計明細を徹底捜査すると発表した。資金横領総額は百億ユーロに達すると推測されている。また、伯子会社が昨年イタリア本社へ送金したとされる一億九千八百万レアルの行方も定かではない。元会計士は、伯子会社と契約した「カリタル」が不当な資金操作に関わっているとも述べており、疑惑は深まるばかりだ。

 国税庁のジョルジェ・ラシジ長官によると、頻繁に会計監査対象となる大手業者の一つがパルマラットだった。会計士らの最近の告発で国税庁は、パルマラット伯子会社の過去数年間の会計報告および金融取引の動きを隅々まで調査、脱税などの問題がないかを調べる。
 パルマラットの主要会計士らの事情聴取はイタリアで行なわれた。そのうちの一人、Gianfranco Bocchi元会計士によると、カリタルは「妙な活動」をしており、本社から「大金」を受け取ったという。
 カリタルは、パルマラット伯子会社の準子会社である。国税庁は主に、カリタルを中心に捜査を進める。
 カリタルのブラジルでの活動の中には、サッカー選手のトレードマネー交渉なども含まれている。よって、過去数年間にわたるサンパウロ州のサッカー選手の移籍取引も、パルマラット伯子会社が不正な会計をしていたかどうかを突き止めるための要点となる。
 カリタルのサッカー関係の活動は次の通り。(1)サンパウロ州サッカークラブの「パウメイラス」や「ジュヴェントゥーデ」の共同管理契約、(2)サッカークラブ「エッチ=ジュンジアイー」経営の全面管理、(3)サッカークラブ「サンタ・クルス」のスポンサー、など。
 同社はまた、物議を醸したパルマラットの資産売買のオペにも参加している。
 一方連警は、パルマラット伯子会社の主な資金の使い先を割り出す捜査から始める。パウロ・ラセルダ連警長官は、ロメウ・トゥーマ上院議員(PFL=自由戦線党)から同社の捜査依頼を受けたという。
 トゥーマ議員は、「パルマラット伯子会社が昨年、イタリア本社と南米全土の関係会社を援助するために一億九千八百万レアルを送金した」という情報の真偽を確認するため、この情報の詳細を提供するよう財務省に申請した。「ブラジルのパルマラット関係会社の中には、このような援助金を受けたことはないと証言する社もある。もしこれが事実なら、一刻を争う事態だ」と、トゥーマ議員は言明している。
 そのため国税庁は、カリタルだけでなく、伯パルマラットがウルグアイに本社を持つウイシャウ・トレーディング株式会社へ送金したという件も捜査する。
 中銀は、伯パルマラットが実施した国外への送金を調査する。現時点の情報では、過去三年間に同社は約十四億レアルを国外へ送金したとされている。