1月22日(木)
移民史料館(大井セリア館長)は、二月三日から八日まで同館でコロニア歌舞伎の展示を行なう。展示時間は、午後一時半から午後五時まで、九階展示室が会場。忠臣蔵や勧進帳、藤娘の舞台を再現やコロニア歌舞伎の歴史、関係者のインタヴィュービデオが紹介される。
調査の中心となったのは、続木・エルザさんだ。続木さんは東京芸大卒業、能の研究で博士号を獲得した才媛。「コロニアで能の研究をしているとき歌舞伎も同様に衰退している事が分かった。早くしなければ、コロニア歌舞伎の調査ができなくなってしまう」と感じたエルザさん。パラグアイ在住のハンデを乗り越えながら、四年間研究にうちこんだ。今回の研究は四年間の集大成になる。
コロニア歌舞伎の歴史は、戦前移民に端を発する。各コロニアの演芸会や天長節で披露された演劇が、次第に本格的な舞台に発展。展示を手伝う日系アメリカ人の山下かすみさんは当時の舞台を「一からステージ、着物を手作りして、”汗”が入った舞台」と表現する。コロニア芸能史によると、伯光団などは「かつらなどは、アルミの古鍋に綿をかぶせ、麻縄をほぐして黒く染めたものを使った」と当時の苦労を感じさせる。
三〇年代以降には、池田歌舞伎研究会、サンパウロ市演劇研究会、伯光団などの演劇団体が続々と設立された。現在では、後継者不足、コロニア社会の日本語熱の低下から、三団体とも活動は下火、もしくは休止状態に追いこまれている。
「調査していて困ったのは、関係者がなくなっていたり、家族は知らなかったりしていたこと。史料などが捨てられていた事も多い」とJICA研修員の忠谷美宏さんは言う。「コロニア歌舞伎をしらべるチャンスはこれが最後ではないか」と言う。今回の展示はコロニア歌舞伎を知る、数少ない機会になる。
なお、二日午後三時から、同館で招待者を対象にした開会セレモニーを行なう。