1月23日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十二日、時事二十一日】ブラジル中央銀行(中銀)通貨政策委員会(COPOM)は二十一日、今年第一回目の会議で、昨年半ばから七カ月連続で下げていたSELIC(基本金利)を年一六・五%に据え置くことを決定し、保守的な金融アナリストまでを驚かせた。基本金利の据え置きは二〇〇三年六月以来初めて。今年度の優先事項として「景気回復と雇用の促進」を公約したルーラ大統領は、閣僚会議の場で基本金利の引き下げを「経済成長を可能にする指標」だとしてきたが、今回の中銀の措置は大統領の楽観的な姿勢と矛盾する形となった。
中銀は同日夜、「基本金利の据え置き措置は一時的である」との内容の声明書を発表。「過去数カ月間にわたり基本金利を計一〇ポイント引き下げたが、利下げ効果はまだ経済に十分反映されたとはいえない。そのためCOPOMは、金融緩和政策を一時的に休止した」と説明している。しばらくの間、インフレ動向を含む金融緩和の影響を見極める姿勢を明らかにした。
中銀によると、基本金利を年一六%まで下げた場合、政府採用のインフレ率である広範囲消費者物価指数(IPCA)は年四・五%を記録するという。インフレは昨年第二・四半期(四~六月)以降、ほぼ沈静化したが、同年のインフレ率は国際通貨基金(IMF)協定に基づく通年目標を上回っている。
基本金利据え置きに対して産業界は不満の意思を示し、批判の声が上がった。サンパウロ州工業連盟(FIESP)のオラッシオ・L・ピーヴァ会長は、「経済成長を妨げるもの。ブラジル社会は余計な代償を払わざるを得なくなる」と批判。「失業率は過去最高レベルを維持し、購買力の回復は一向に見られない。不当な労働も増加し続けている」と憤る。
全国工業連合(CNI)のアルマンド・モンテイロ・N会長も、「いくら中銀が言い訳しても、非常に保守的な態勢に入ったことは否定できない」と断言。「ブラジルは成長計画が必要なのだ。本当に経済成長が可能なのかどうか? 中銀の決断を我々は疑問に思う」と懸念を隠せない。
市場アナリストのほとんどが「今月も〇・五%程度引き下げられる」と見込んでいただけに、期待を裏切られた産業界のショックは大きかった。一部のアナリストは「一ポイントの引き下げ」を予測していたほどだった。
経済指標や株価は最悪期を脱したものの、景気回復が本格化したとはいえない状態が続いている。雇用改善は遅れ気味で、景気回復は道半ばとの声も強い。