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各県警本部=捜査幹部初めて来伯=警察官10人が視察=ブラジル事情の知見深める=背景にはブラジル人犯罪増加も

1月29日(木)

 二十五日から日本の警察官十人がサンパウロ市に滞在し、ブラジルの生活習慣および、その警察・司法制度について理解を深めようと研修に励んでいる。在日ブラジル人の多い中部地方の各県警に所属する警官が主で、うち六人は捜査幹部。愛知県警から出向しているサンパウロ総領事館の大熊博文領事は、「これまでは語学研修を兼ねた巡査らが多かった。捜査幹部の来伯は恐らく初めてではないか」と話す。今回、警察庁が捜査幹部の派遣に踏み切った背景からは、犯罪検挙の現場以外でも、日常的に在日ブラジル人との接点が増えている日本の社会事情が浮かび上がる。

 二十八日、日本の警察官十人はブラジル弁護士会を訪問。二十九日は州の裁判官、検事らと懇談する。
 滞在スケジュールを組んだ大熊領事は、「在日ブラジル人犯罪に対応するには、ブラジルの捜査関係だけでなく司法関係に関する知識も必要」としたうえで、三十日には、犯罪多発地域のひとつ、ジアデーマ市のファヴェーラを視察する予定もあると明かした。
 また、領事は「普段から在日ブラジル人を対応する機会が目立つようになってきた。捜査幹部がブラジルの事情を知らないと部下に指示できなくなっている」と話し、日増しにブラジル人の存在が日常社会で無視できない存在になりつつある状況を指摘した。
 捜査幹部は来週帰国するが、通訳として同行している巡査、職員らはその後も残り、一カ月間の語学研修を行うという。
 在日ブラジル人犯罪への関心は、日本だけではなくブラジル・メディアの間でも高まっている。「日本とブラジルの警官交流は十一年前から始まっているが、最近になって、マスコミに扱われることが多くなった」と領事はいう。
 二十八日付ジアーリオ・デ・サンパウロ紙も、今回、日本の警察官がサンパウロに滞在していることを報じ、在日ブラジル人犯罪の検挙数について書いている。それによると、「日本は最も安全な国だが、二〇〇一年の在日ブラジル人犯罪は三千四百五十七件。昨年(一―十一月)は四千三百八十二件が報告されている」。
 逮捕者には未成年も多く含まれていることから、この問題について、野村丈吾元連邦下議の見解を紙幅を割いて紹介している。