高がニワトリ―ではあるのだが、鳥の風邪引きにも困ったものだ。正式には鳥インフルエンザと呼ぶらしいけれども、これに感染すると鶏も家鴨などもバタバタと倒れ死んで行く。安全地帯としていた日本にもやって来て大騒ぎになった。が、被害が飛び抜けて大きいのは中国と韓国やインドシナ地域の国々である。仏教の国・タイは食の大国でもあるのだが、感染した鶏を一千万羽余りも処分したそうだ▼日本人にとってニワトリは、焼き鳥に始まって親子丼と庶民派を喜ばせる栄養食品である。最近の事情はよく知らないのだが、その昔の小学生は、遠足となれば「茹で卵」が欠かせない。「巨人・大鵬・卵焼き」と兎にも角にも卵が大好きなのだ。日本の新聞からの受け売りながら、日本では年間に恐らく三〇〇億個以上の卵が食卓に上がっているらしい▼これを一人当たりにすると年に三〇〇個ほど食べる計算になる。そう言えば「茶椀蒸し」も「出し巻」もある。就中(なかんずく)鮨屋の親父が手作りの旨い「玉」が堪らない。なのにインフルエンザとかで次々に倒れてしまわれたのでは、折角の名品料理も消えざるをえない。日本が中国産を輸入禁止にすると、中国も日本産の輸入を差し止める。と、アジアの国々では「輸入禁止」が大流行りなのも―おかしいと言えばおかしい▼防疫の関係でやむを得ない措置なのだが、ヴェトナムやタイではヒトも死亡しているし早く防疫の方法と手段を考えないといけない。肉や卵を食べてもヒトには感染しないとは言うけれども。(遯)
04/01/31