2月3日(火)
ブラジル人が日本社会で暮らしやすくするため、また、日本社会がブラジル人を理解できるようにするため、二〇〇一年、設立された非政府団体(NGO)「関西ブラジル人コミュニティー(CBK)」。代表を務める兵庫県神戸市中央区在住、松原マリナさん(五〇、二世)は、ポ語や日語教室、日伯青年交流イベントなどの運営で忙しい毎日を送っている。
CBKはカトリック鷹取教会の「たかとりコミュニティーセンター」が前身。同センターは九五年の神戸の大震災後、同市に在住する諸外国人の情報交換の場として設立された。センターに所属していたマリナさんは、九九年、ワールド・キッズ・コミュニティーという外国人の子どもたちを支援する組織を立ち上げた。
その後、四年間の活動を経て、二〇〇一年、関西在住のブラジル人が集える場としてCBKを設立、二年後にはNGOとして独立を果たした。中心メンバーはマリナさんを含め五人。本拠地を旧神戸移住センター(神戸市中央区)に置いている。
CBKの最大のイベントは毎年六月開催の「フェスタ・ジュニーナ」。去年は神戸移住センターに千人を集めて盛り上がった。会場ではフェイジョアーダを販売、その売上金でCBKの運営を切り盛りした。ほかにも、保健専門家を招いて出産や健康に関するシンポジウム、専門医によるエイズ講座も開き、それぞれ百人近くの参加者で好評を博した。
昨年から兵庫県外国人県民支援金を受け取り、運営の足しにしているCBKだが財政は苦しい。しかし、マリナさんは、「今年は政府のNGO助成金を申請している。今後は子どもたちの協力に力を入れたい」と意気込みを見せる。また、四年後の移民百周年に照準を当て、「今年四月、兵庫県内に住んでいる元ブラジル移民の方に話を聞いたり、映像を紹介したりする記念イベントを開く予定。来年、再来年と続けていきたい」という。
マリナさんはサンパウロ市に生まれた。父親は静岡出身、一九二八年に渡伯した故・中田マサシさん。八八年、夫の松原ネルソンさん(五二)が神戸のサッカークラブ「ヴィッセル神戸」のコーチに招かれたことを機に、家族で日本へ渡った。
マリナさんは、「当時、六歳だった長女が日本の学校で戸惑い、大変な思いをしたことがきっかけで、在日ブラジル人支援を始めた」という。「ブラジル人の子どもたちに、日本の文化や習慣を早いうちから分かってもらい、苦労することなく生活してもらいたい」と熱く語っている。