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サンパウロ市、強風・大雨で被害続出=駅の屋根吹き飛ぶ=最大風速80キロに達す=降雨量2月平均の30%

2月4日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・オンライン三日】二日夕方から夜にかけて、サンパウロ市で強風を伴う大雨が降り続き、市内各地で大きな被害が出た。最大風速八〇キロに達した突風によって、地下鉄タトゥアペー駅では屋根の一部が吹き飛ばされ、四人が負傷した。大サンパウロ市圏タボアン・ダ・セーラ市のショッピングセンターでは屋根の一部が崩れ落ちた。また、洪水や停電も起こり、空港も閉鎖された。大サンパウロ市圏では、先週半ばから夕方から降り出す大雨が続いているが、これほどの混乱状態に陥ることはなかった。

 サンパウロ市非常事態管理センター(CGE)によると、雨は同日午後四時四十五分ごろ、サンパウロ市東部で降り始め、同午後六時三十分には、市内全域で洪水注意報が出された。同午後九時ごろ、南部ではまだ弱い雨が降っており、市内全体は要注意の状態が維持された。
 東部では、最大風速八〇キロの暴風が吹き荒れた。同午後五時二十分ごろ、地下鉄(メトロ)タトゥアペー駅のアルミニウム製の屋根の一部が強風で吹き飛ばされた。
 屋根は、コリンチアンス=イタケーラ/バーラ・フンダ間を結ぶ第三赤線の線路に落下し、運行が一時停止した。事故当時プラットフォームにいたガブリエーラ・L・フェレッチさん(二九)は、落ちてきた屋根で軽傷を負った。
 地下鉄内部のスタンド(食品大手「バウドゥッコ」)で働いていたヴァウデミール・ダ・モッタさん(三八)は、「いきなり竜巻のような突風が吹き荒れて、スタンドが破壊されたんだ。周辺にいた人々はみんな驚いて逃げた。映画をみているようだったよ」と状況を伝えた。
 屋根崩壊被害により第三赤線は運行を一時停止し、第三赤線を利用する約百十万人の足を奪った。乗客のために地下鉄は、緊急事態時企業援助計画(PAESE)に通報し、臨時バスを出したが、乗客たち全員を運ぶことはできず、バス乗り場は混乱した。バスは定員オーバーで発進したという。
 同午後六時五十分ごろにコリンチアンス=イタケーラ方面行の第三赤線を利用した日本人男性は、「電車はのろのろ運転だった。ブレッセル駅でメトロの職員が乗客全員を降ろし、プラットフォームで一時間半も待たされた。その間、がら空きの電車が素通りしていった。メトロの運行が一時停止し、通常に戻る時間は未定というアナウンスが流れた五分後にがら空きの電車が停まり、それに乗って帰ったが、乗客の混乱を招くアナウンスを流すとは無責任すぎる。みな大迷惑だったよ」と地下鉄側の緊急時の対応の悪さを指摘した。
 この男性がパトリアルカ駅に到着したのは午後八時二十分過ぎ。同線の運行が、タトゥアペー駅を素通りする形でほぼ通常に戻ったのは午後十一時以降だった。三日の運行は通常に戻った。タトゥアペー駅では屋根の修復を急いでいる。
 屋根はさらに、同地下鉄線と平行に通るラジアル・レステ大通りまで飛ばされ、乗用車を直撃した。中にいたルーベンス・A・S・オリヴェイラさん(二九)は腕を負傷し、ジャネッテ・V・サントスさん(二八)は手首の腱(けん)を切断、七歳の男の子は手首を骨折した。消防隊によると、被害者らは付近の病院に運ばれた。この事故のため、同大通りのペーニャ方面行車道は閉鎖された。

市内各地が大混乱

 市内各地で洪水も発生。CGEによると、洪水被害地数は四十カ所以上に及び、特にサンパウロ市東部と西部での被害がひどかった。東部チクアチーラ川と西部ピラジュサーラ川が氾濫し、乗用車は流され、多くの家屋が浸水した。軍警のヘリコプターは濁流に流されそうになった十一人を救助。中心部パリー区では住宅の屋根が崩れて、住民が軽傷を負った。
 南部モルンビー区ではジョアン・ジョルジェ・サアジ大通りの下に流れる川が氾濫し、モルンビー・スタジアムの隣りにあるサンパウロ・サッカークラブに泥水が流れ込んだ。被害総額は三十五万~四十万レアルとされている。
 二日だけで、サンパウロ市の二月の平均雨量(217ミリ)の三〇%に相当する雨が降った。西部と南部の境にあるカンポ・リンポ区では、65ミリ、西部ブタンタン区では53・8ミリを記録した。
 混乱が続いたサンパウロ市の夕方だったが、サンパウロ市交通技術公社(CET)によると、同午後七時の延べ渋滞は八十五キロと同時刻の平均と変わらなかった。
 サンパウロ州の配電会社「エレトロパウロ」によると、暴風雨で樹木の枝が電線に落ち、東部や北部、中心部の一部で停電となった。
 大サンパウロ市圏ABC地帯でも大雨による被害が出た。アンシエッタ=イミグランテス自動車道システムを管理するエコヴィーアス社によると、雨でコウロス川が氾濫し、アンシエッタ自動車道13キロ地点で車道一面が洪水となり、閉鎖された。同日夜には開通したが、車両の運行はのろのろ運転で、三キロほどの渋滞が両車線で発生した。
 サンベルナルド・ド・カンポ市でもコウロス川の氾濫の影響出た。タボアン大通りとドウトール・ラッジ・ラーモス大通り、パウリセイア区などで洪水になった。また、サンカエターノ・ド・スル市、ジアデーマ市でも洪水が記録された。