今年の気象は少しくーいや大いにおかしい。先にも小欄に書いたけれども、夏というのに涼しい日々が続く。雨季であり雨が多いのに不思議はないのだが、日本の梅雨を想わせるように昼日中に堂々と降りしきる。それでも近ごろは夕方になるとザーと豪雨が押し寄せる本来の形になっているが、それにしても雨が多すぎる▼それと東北伯を大雨が襲っているのも珍しい。いつもは旱魃で知られる地域であり農業も思うにまかせないところを豪雨が叩きつけるのだから堪らない。アラゴアスやセルジッペを初めとしてペルナンブーコなども被害が続出している。家屋への浸水。車は濁流に攫われて行く。家族は総出で家具や冷蔵庫などを避難させるのに命懸けで働く。水の怖さーである。これは実際に体験したものでないと、恐怖感も苦渋も解り難い▼兎にも角にも降り方が異常に過ぎる。旱魃で泣く土地が雨に泣く。サンパウロ市も地下鉄・タツアッペ駅の屋根が風に吹き飛ばされる始末であり、自慢のメトロも運行停止は情けない。尤も、風速八十キロの疾風だったから頑丈な屋根が木っ端微塵に近くなるのも止むを得ない。河川の氾濫も多すぎるし、政治家連が日ごろ訴える「インフラ整備」をしっかりとやってもらいたい▼この集中豪雨の猛襲で死者八十四人。家を失った人たちが四万と少し。それにしても、こうした災害の被害には貧困層の「ファベーラ」が多いのも気になる。庶民派・ルーラ大統領の政治的な手腕に大いなる期待を寄せたい。三日付けの「慳鈍」を「慳貪」と訂正します。 (遯)
04/02/05