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大雨の被害、16州に及ぶ=死者数119人に拡大=懸念される伝染病発生

2月11日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十日、ロイター、時事九日】国内二十七州のうち十六州に広がっている大雨によって、今年に入ってすでに百十九人が水害で死亡したと九日、被災者の救助活動を指示し、食糧配給を担当する国家統合省が発表した。四日同省が発表した死亡者数は九十一人だった。
 国内六百六十四市で大雨による土砂崩れや洪水などの被害が記録されており、家屋を失った人は十七万八千四百三十四人に達している。
 ウンベルト・コスタ保健相は記者団に対し、「政府は水害地区での伝染病発生を懸念している」と言明。汚水などを媒介に広がるレプトスピラ症の感染例が、南東部エスピリト・サント州で約三十件報告されたという。
 レプトスピラ症の多くは、ネズミなどの保有動物の尿によって汚染された水と接触することで感染する。その重症型であるワイル病(黄疸出血性レプトスピラ病)は、頭痛や筋肉痛を伴う高熱で発症。この病の三つの特徴である黄疸・出血傾向・蛋白尿が見られ、症状の進展は早く致死率の高い疾患である。
 「どのレプトスピラ症であっても、死に至る可能性があるので注意が必要だ。人々が自宅へ戻り、泥水を掃除し始める時が一番危険である」とコスタ大臣は注意を促している。
 また、川や貯水池の氾濫によって水溜りや小さな池が各地にできたため、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)を媒介とするデング熱などの伝染病の発生も懸念されている。
 さらに、避難所での汚染された食糧による食中毒や、呼吸器疾患なども心配されている。
 先週から水害に遭ったいくつかの市を訪問したルーラ大統領は、すべての被災者への支援と、食糧や飲料水、医薬品の配給を保証した。
 大統領はまた、被害に遭った住宅などのリフォーム費の足しになるように、被災者のみ特別に、勤続年限保障基金(FGTS=ブラジルの退職金制度)での積立金の引き出しを可能にする案を検討していることを九日、大統領の週間ラジオ・プログラムの中で伝えた。だが、被災地に住む住民の多くは貧しい人々で、不正規労働者も多いので、FGTSの恩恵は実際にはあまり期待できないと言える。
 「政府は水害被災者の援助を優先事項としている。わたし自身も睡眠中、一メートルの浸水で飛び起きたことが幾度もある。雨が止むと家の中は高さ三十センチの泥だらけ。洪水被害を何度も経験してきたので、オーブンや冷蔵庫を洪水の度に失う悲しみを知っている。ネズミが陸地を求めて家の中を泳ぐ中、首まで水に使ったお年寄りを助けなくてはならなかった」と、大統領は経験談を話した。
 気象庁によれば、昨年末から停滞している寒冷前線の影響で、同国北東部は一月、所によって例年の約八倍の降水量を記録。中部の大豆や北東部の果物など、農業生産への影響が懸念されている。