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ブラジル人少年、母国へ=台湾の警察が実力で奪回
2月11日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】父親の死後、台湾に住む父方の伯父が約三年間引き止めていたブラジル人少年、イルアン・エルギ・ウーちゃん(八つ)が九日、十一時間に及ぶ交渉と混乱の末、伯父の元から台湾の司法当局に引き渡された。
イルアンちゃんを連れ出す際、警察は実力を行使しなければならなかった。伯父の家族は同少年を足ではさんでまで引き止めようと試みた。台湾のテレビ局は警察の拘束劇を生中継で報道し、その中ではイルアンちゃんが警察の手から逃れ、伯父の所へ走って戻る場面も見られた。
「とても悲しく、重苦しい気分になった。こんな手段を取らないよう全力を尽くしたが、伯父がとても頑迷だったから…」と同中継を見た少年の祖母は語った。拘束後少年と電話で話した祖母によると、孫は「懐かしい」「愛してる」とポルトガル語で話していたという。伯父の家族はイルアンちゃんがポ語をもう忘れてしまったとマスコミに話していた。
イルアンちゃんはホテルに二晩滞在した後、十一日に台湾を出発し、十三日夜、リオグランデ・ド・スル州カノーア市に到着する予定。
今回の事件の発端は〇一年三月にまでさかのぼる。当時、親せきに紹介するために父親が同少年を台湾へ連れて行ったが、当地で父親が死亡、伯父が少年を引き取る決断をした。その後、ブラジルの家族は少年を取り戻すために台湾の裁判所に訴訟を起こし、昨年十二月に勝訴したが、台湾の家族が引き渡しを拒否していた。