2月12日(木)
【スセッソ誌】ジョルナル・レコルデでニュース・キャスターの右腕として活躍するサレッテ・レモス編集主任は、ブラジル再発見と題して「既存の概念から抜け出せ」と訴えている。同主任はジョルナル・ダ・タルデからグロボ、SBTを渡り歩き、意を得なかった時代を回顧して次のように述べた。
ニュースの迅速性を主張する同主任は、根拠を重要視するジョルナル・ダ・タルデの編集主任と衝突した。同主任は遍歴の末、レコルデ局に試用を申し出た。現在はテレビやラジオで、数々の経済番組を担当している。次は、経験豊富な同主任との一問一答だ。
【二〇〇四年は政府の強気発言にかかわらず、企業家は疑心暗鬼だ。あなたの見解は】現状からいえるのは、企業家が高級車を乗り回すかポンコツ車に乗るかではなく、銀行に債務があるか債権を有するかが重要。債務不履行の直前なら、要注意。債権を有するなら不労所得を得、知らない間に資産が資産を生む。
ブラジルの財政状態も、同じ。いま、ようやく軌道に乗り始めた。国際信用も高まり、政府は低利の資金を入手できる。輸出も好調。貿易収支も右上がりに転じた。経済成長率が低いなどの問題もあるが、ブラジルの未来に希望を抱いてもよいのではないか。
【空腹を未来への夢で満たす生活は、いつまで続くか】失業率の増大や所得の低下は、政府の公約通りに行かない。しかし、庶民の中から新しい動きがある。いつまでも下を見てクヨクヨしないで、右足を踏み出そうというのだ。多くの人たちが、十三カ月目給与で借金を返済した。それでも足りない人は、政府の低利融資に切り替えた。これは特記すべきことだ。
【なぜ特記すべきことか】労働者も企業家も、考え方がマンネリに陥っている。ここで頭を切り替え、心機一転しようとしている。存在しない職や解決を求めて、ウジウジするのは止めよう。新しい人間関係を築いて、新しいチャンスを生み出そうというのだ。いまや職探しから共営者探しが「合言葉」となっている。
企業でも、労使関係の見直しが起きている。企業は不確定時代に、従業員の年間固定給を支払う目算がない。労使間に協力関係が生まれガラス張り経営のもとに、従業員も経営に参加する労使協定が結ばれている。企業生き残りのために、従業員も自腹を切る。
【自動車企業が、従業員をリスク契約に参加させるのか】大企業が大赤字を出して、従業員が長期に無給で働くことはできないから、大企業には不可能だ。
これは、サービスや商業部門の小零細企業の場合だ。本人の能力に関係なく全員同率の平等も間違い。格差があって然るべき。共営者の利益分配も同じで、各共営者の配当に格差があって然るべきだ。これが、最近の常識となっている。
【社会生活での変革は】ブラジル人の生活習慣は、公務員と同じ。誰かが問題を解決してくれるのを、無為に待っている。ブラジル人の大志とは、高給を払う会社か省庁へ就職すること。就職できなくて仕方なく、独立する人が多い。昨日までの不勉強を挽回する企画もなく起業しても、成功するはずがない。
【安定した給料生活から寒風の中に放り出されたら、どうして生きて行くか】逃げ道はないと覚悟して、頭の切り替えをするしかない。政府が、何かしてくれると思ったら惨めだ。個人は借金地獄に、企業は倒産前夜が軒並み。自助努力しかない。幸なことに、ブラジルには全てがそろっている。ブラジル人は、創造力が豊かだ。不足しているのは、発想の転換と前進だ。
【あなたがその立場に立ったら、何をしますか】そのような質問をするのは、動物。私たちは、サッカーの観戦をしているのではない。ブラジルには、ビジネス・チャンスが満ちている。市場を分析して観察するなら、どこも処女地ばかりだ。