2月18日(水)
わずか三歳で既にカラオケ大会八回優勝――。そんな天才肌の少女が生まれた。日系四世の松村タミちゃん=アバレー市(SP)=。おむつがとれて、まだ間もないが、「トロフィーをもらうまでは、家には帰らない」と強い意志をのぞかせる。パウリスタ歌謡連盟(重田セルゾ会長)主催のパウリスタカラオケ選手権(今月十四、十五日)に出場、自慢の喉を披露した。将来の夢はもちろん、芸人になることだ。
曾祖母は藤間流の山田二三枝さん(八七、徳島県出身)=カンポ・グランデ市(MS)=。祖母の河野ヨシコさん(六五)=サンパウロ市(SP)=も日本舞踊や浪曲をたしなむ。二歳を少しすぎたあたりで、ヨシコさんの練習をみて真似るようになった。
子供らしい曲を歌ってほしいと、童謡などを教えたところ、歌唱力がどんどん伸びた。専門の先生について習いたいと本人から言い出し、歌謡教室に通うことに。そして三歳を迎えるまでに六回、チャンピオン(部門別)を手にした。
「もう、あちこちで優勝している子のことでしょう」と業界関係者の間でも存在は、よく知られているようだ。
ヨシコさんの自宅には、トロフィーがずらりと並ぶ。「たまにしか会えないけど、これを私だと思って、大切にしてね」。同家を訪れるとタミちゃんが真っ先に向かう場所は、トロフィーが飾ってある棚だそう。
パウリスタカラオケ選手権の幼年D(七歳まで)に出場。出場者二十二人の中でも体は小さい方だったが、『チューリップ』をきちんと歌いこなした。日本語の発音もはっきりしていたようだ。
この日は、早めに起床し仏壇に線香を立てて、優勝を祈願。発声練習を行って本番に備えた。歌い終わると、三歳児のあどけない表情に戻り、カバンからおもちゃを取り出して従弟と遊びはじめた。
松村家は代々、芸達者が多いそう。カラオケ選手権にはタミちゃんを含めて十二人が出た。いずれも各地の予選を勝ち上がってきたつわものぞろい。「みんなが各部門でトップ争いに絡んでいけるだけの実力を持つ」。
歌の次は、日本舞踊を習わせてみたいとか。「タミに踊りの振り付けを教えたら、すぐに覚えるんですよ」とヨシコさん。初孫の成長に熱い視線を送っている。
カラオケ選手権での結果は、手違いがあって再度集計中で現時点では分かっていない。