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史実に忠実なTV歴史ドラマ=各専門家が裏で活躍

2月21日(土)

 グローボ局のミニシリーズドラマ『ウン・ソー・コラソン(直訳=一つだけの心)』で一月最後の週に、〃二十四年革命〃時のサンパウロ市の空襲のシーンが放映された。ブラジルの歴史の本ではあまり紹介されていない史実である。このような歴史ドラマの舞台裏で活躍しているのが、歴史研究家たちである。ジャーナリストや建築家、歴史家などを含む調査グループが日夜、脚本家の手足となって働いている。
 このドラマの脚本家の一人、マリア・アデライデ・アマラルさんは、「正しい歴史を知らなければ、素晴らしい話は書けない。後で歴史を変えてフィクションを作り出すとしてもね」と歴史の重要性を語る。
 彼女が初めて書いた歴史ドラマは、同TV局の『ア・ムラーリャ』だった。「わたしは史実が分からなければ何も書けないのよ」と話すアマラルさんは、同ドラマ執筆時代から歴史ジャーナリストのカルメン・リゲットさんとコンビを組んだ。
 二人は以前、アブリル・クルトゥラル出版社の同僚だった。リゲットさんは同社を辞め、歴史コンサルタント会社を開業した。十二年前、経営困難に陥っていたところ、脚本家になったアマラルさんに呼ばれた。
 リゲットさんはアマラルさんだけではなく、同ドラマのもう一人の脚本家のアウシーデス・ノゲイラさんや、同じく脚本家のシウヴィオ・デ・アブレウさんの脚本コンサルタントも務めている。
 『ウン・ソー・コラソン』の脚本はすべて、リゲットさんを含む歴史研究グループがチェックを入れる。「ドラマ化される前に全部目を通す。史実の矛盾は逃さない」と、リゲットさんは話す。
 このドラマには実在した人物も登場する。詩人マーリオ・デ・アンドラーデ役には、俳優パスコアル・ダ・コンセイソンが演じている。アンドラーデ本人を見たことのある人々は、「まるで当人を見ているかのよう」と称賛している。ここでも歴史家たちの詳しい調査の成果が出ている。それだけではない。この俳優はアンドラーデのそっくりさんでもある。コンセイソンは、「アンドラーデの絵が描かれた五十万クルゼイロ札が初めて発行された時、うちのマンションのポルテイロ(門番)に『お前の絵がお札に印刷されている』と言われた」と、コンセイソンは打ち明けた。
 (エスタード・デ・サンパウロ紙三日)