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貧民街を青空博物館に=106年の歴史〝展示〟 リオ

2月21日(土)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十五日】リオデジャネイロ市はこのほど、市内で最も古く、百六年の歴史を持つ貧民街「モーロ・ダ・プロヴィデンシア」を青空博物館にする計画を立てている。
 リオ市中心部にあるモーロの小道を、観光客が訪れるような文化・歴史的に重要な〃博物道路〃に変身させ、地元住民の新たな収入源にするほか、同地域の犯罪率低下も図るのが目的。
 この計画の実行は非常に難しい。二十七日にはある強盗犯が死亡したため、犯罪組織から同モーロ付近の商店街に服喪・閉店命令が下されたばかりだ。
 同計画の推定予算は千五百万レアル。リオ市の貧民街の再都市化を目指す「ファヴェーラ=バイロ計画」から資金が調達されるという。
 十九世紀にカヌードス戦争で戦った共和制主義者の兵士たちが、この丘を「モーロ・ダ・ファヴェーラ(直訳=ファヴェーラの丘)」と名付けた。
 現在では貧民街を意味するファヴェーラの語源は歴史専門家によると二つある。兵士たちが仮住居を構えたカヌードスの近くにある丘の名前だったという説と、ブラジル北東部奥地のセルトン地方に生えている植物の名前という説だ。兵士たちが、ファヴェーラによく似た植物をその丘で見つけた可能性もある。
 兵士たちはそこに仮住居を構え、政府が正式に住宅を提供するのを待ったという。その、政府の措置を待ち続けた場所であるため、モーロの名前も「モーロ・ダ・プロヴィデンシア(直訳=措置の丘)」と変更された。
 〃青空博物館〃は、十九世紀に昔の住民だった奴隷たちよってつくられた花崗岩の階段から始まる。階段の近くの家が入場券売り場になる予定。
 百五十五段を上りきると、創立百年になる聖母ペーニャ教会が見える。そこから数メートル先には、一九一三年に建造されたレンブランサス貯水池がある。八角形の貯水池は、住民たちの語る貧民街の歴史を聞く一種の講演会場となる。
 一九〇〇年に創設されたカペーラ(チャペル)・ド・クルゼイロも観光ポイントの一つ。リオ市を三六〇度見物できる展望台も建設される。