2月28日(土)
ブラジルでは数少ない本格的な「七宝焼」作家のひとり、岩井和子さんの近作三十五点ほどを集めた展覧会が三日からパウリスタ通り一七七六のパルケ・アベニーダ・ガレリア・デ・アルテで始まる。
七宝は金属の上にガラスの粉(釉薬)を塗り焼き上げた工芸。七つの宝石をあわせたような美しさを備えるためそう呼ばれる。ヨーロッパから伝わり日本で美術工芸として完成。その後パリ万博で紹介されるとアール・ヌーボーのデザイン形成にも影響を与えた。
岩井さんはその魅力について「火を使うので出来上がりはまったく予想もつかない。そんなデリケートなところが奥深い」と語る。
長らく岩井さんは「工芸としての七宝」の姿勢を崩さなかったが、最近彫刻家で画家の豊田豊さんから指導を受けるようになり、ステンレス素材の部分を交えるなど自由な造形感覚を意識して加えている。
もともと七宝は女性的で優美なラインをもった植物を模様とすることが多いが、「さらに自然を抽象的に表現するのがいまのテーマ」と岩井さんはいう。
昨年五月から六月にかけてサンパウロ大学日本文化会館で展覧会とワークショップを開催。直後から、どこで習えるのか、ぜひ教えてくれないか、と問い合わせが相次いだことも励みとなっている。
昨年はフランスであった国際大会にも参加した。岩井さんは「ずっと七宝一筋でやってきたので、なんとか自分のものにしたい。もっとレベルの高いものを」と意欲的だ。
東京出身、一九六九年に来伯。夫の元長さんは同じく一世で元サンパウロ大学の海洋学教授。
四月三日まで。オープニングが二日午後八時から。
電話287・9260。