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 日本ではコロンブスがアメリカを発見したことになっている。が、地中海を出港し西に向かって航海して見つけたのはカリブ海に浮かぶ島国・ハイチの首都ポルト・プランスであった事実を知る日本人は少ない。四国の一・五倍の領土を持つハイチは一八〇四年に中南米で始めて独立した黒人国家であり、哀しくも豊かな歴史を誇る▼コロンブスの「発見」は偉大な功績だったけれども、ハイチには悲惨が待ち受けていた。スペイン人による原住民のジェノサイドであり、皆殺し作戦である。このため西アフリカから労働力として黒人奴隷を導入し今も九五%は黒人が占める。これら黒人奴隷たちの力は強く、フランス革命の影響をうけて宗主国である仏軍の派遣隊と戦い独立を勝ち取った国なのである。そうした哀しみと力強さを引きずるかのように今も政治抗争が絶えない不思議な国だ▼アリスティド大統領の辞任を要求する武装派と政府軍の戦闘が続きさながら内戦の様相で米仏が調停工作を進めているが、難航しているらしい。目下、反体制派が有力都市を攻略しつつあり優勢ながら大統領派も引かない。このため混乱が起こり日本大使館も閉鎖し館員らは隣国のドミニカに避難しているし他国の公館も同じような措置をとっている▼一九五〇年代に大統領となったデュバリ大統領の専制独裁は有名ながら―こうした対立抗争が国を貶めているの事実は否定できない。独立を戦った先祖の意気と気高さに学ぶべきは多いと思うのだけれども―。   (遯)

04/02/28