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海外に5千億R$不正送金=国税庁が実態発表=名義賃貸人の大組織が存在=銀行巻き込む為替業者

3月 2日(火)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十九日】国税庁は二十八日、国外への不正送金のため為替業者の構築による大掛かりな名義賃貸人(ラランジャ)ネットワークの存在を明らかにした。発表によれば、パラナ、リオデジャネイロ、ミナス・ジェライス、サンパウロ諸州の為替業者は、銀行も巻き込んでラランジャ名義で非居住者口座CC5を二カ月間だけ開設し、一人当たり四百万レアルの送金を行っていた。一九九六年から二〇〇二年の間に、四十一万三千回不正送金され、金額にして五千億レアルにも上った。

 ラランジャ・ネットワークは別名「柑橘組合」と呼ばれ、数百人のラランジャが名を連ねている。口座CC5は、送金だけのために短期間だけ設ける。中央銀行が不審としたときは、口座は閉鎖されている。口座CC5からの送金先は、主にパラグアイのシウダ・デル・エステ市やウルグアイのモンテビデオ市か、直接米国の最終受取人宛に送金される。
 送金は専ら電話かファックスで行われ自動的に入金処理されるシステムなので、中央銀行は不正送金の実態を把握できない。国際的な銀行間決済システムだ。
 柑橘組合には陰の支配人がいて、新しいラランジャを使って複数の為替業者の送金を行う。ラランジャは、次々使い捨てる。パラナ州検察局は、ラランジャよりも預金者と送金者、最終受取人、銀行内の共犯者摘発に努めている。
 三百二十一人のラランジャと為替業者は、違法行為と知りながら不正送金に加担したとして、当局から摘発された。一般市民が住民票を紛失して、知らない間にラランジャ・リストに挙げられたケースも多い。
 政府は、送金先となる国々と租税協定の締結を急いでいる。協定が結ばれれば、送金先の不正資金の流れを突き止められるとみている。不正送金に利用されるタックス・ヘイブン(税金避難地)によっては、情報の提供を拒んでいる。
 不正送金の取り締まりは、ブラジル国内にも不備がある。元パラナ州銀の不正送金CPI(議会調査委員会)は、中央銀行へ実態調査を記録したフロッピーの提出を求めた。それで国税庁は初めて、元パラナ州銀の不正送金事件を知った。