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第二の人生、エビ養殖=ナタールで元南銀支店長=ほとんど欧米市場向け=大雨被害にもめげず

3月 3日(水)

  銀行支店長として赴任したリオ・グランデ・ド・ノルテ(RN)州のナタールが気に入り、そこに住み着いた二世が第二の人生をエビの養殖に賭けている。サンパウロ生まれのアキラ・モトオカ(元岡)さん(五六)だ。

 一九七四年、南米銀行支店長としてナタールに着任した。七年過ぎた時にセアラ州のフォルタレーザへの転勤を命ぜられた。すでにナタールに愛着を感じていたため気乗りがしなかったところへ、BNC銀行から好条件でナタール支店長の話があったため、十九年間勤務した南米銀行を辞めてナタールに残った。
 銀行マン生活に区切りをつけた頃、北米向けエビ養殖の本場だったエクアドルでエビに病気が発生し、新しい養殖地がブラジルに舞い込んできた。RN州が主要候補地となったのである。アキラさんはこれに着目した。今ではRN州がセアラ州と並ぶブラジルでの主要エビ生産地となっている。殆どが北米と欧州市場向けだ。
 去る二月三日から七日まで、全国から三千人の関係者が参加するエビ・シンポジウムが開催された、と地元ナタールのTRIBUNA DO NORTE紙が大きく報じたほど、エビ養殖ブームは続いており、ナタール近郊には大小さまざまなエビ養殖場が広がっている。
 つい最近は、地元の人々が半世紀ぶり、と言う大雨で、かなりの数の養殖場の堤防が崩れて大量のエビが海に流れ出し、高嶺の食材を網ですくい上げ、無料で口にできる住民を喜ばせる自然の采配あったが、養殖熱にかげりは見られない。「エビの養殖で留意しなければならないのは環境との関係です。私は海岸線を守るマングローブ(マンゲ)林を浸食しないように注意しています」とアキラさんは慎重だ。
 まだ養殖面積が狭いので利益はわずかながら、少しずつ面積を増やしていく計画という。稚魚の放流は一平方メートル当り四十~五十尾だ。養殖期間は九十日で一尾十一~十二グラムの時に出荷する。九〇%が北米と欧州に輸出されている。
 アキラさんが育てているVanameyという種のエビが欧米人の嗜好に会っているようだ。エサを一日四回与えるが、そのエサは米国から輸入されている。大豆やミーリョなどの穀物、マンガなどの果物と同じように、エビ養殖も肝心なところで米国の陰が見え隠れしているようだ。ブラジルや中国系資本が主流を占めているといわれるRN州でのエビ養殖産業の中で、日系元銀行マンの孤軍奮闘は続く。